「剪定鋏が怖い」ただ悪より救いたまえ LSさんの映画レビュー(感想・評価)
剪定鋏が怖い
クリックして本文を読む
韓国のフィルムノワールでは「哀しき獣」を偶然観て衝撃を受けたのだが、その脚本家による監督作品。
導入部の日本パートは静で、画面構成も落ち着いている。ほぼ本編であるタイパートはひたすら動。アクションシーンは泥臭さも感じさせながらスタイリッシュでもある。一つのカット内でフィルム速度を変える技法は昨日観たキングスマンでも多用されていたが、使い方がうまいと思った。
主人公の殺し屋の一見サラリーマンっぽい容姿とスキルとのギャップと、彼を追うもう一人の殺し屋(平沢進またはルー似)のファナティックさに対照の妙がある。死体を増やしながら追いつ追われつするところはサスペンスフルでとてもよい。後半は大風呂敷を広げすぎて(男たちの挽歌とかターミネーターを彷彿させるシーンも。嫌いじゃないが)前半の緻密さに欠ける感はあったが、最後まで勢いを維持していた。短いが韓国から渡ってきたレディボーイとのバディ話も入れ方がうまい。意外性はないがよくまとまっていると思う。
余談だが、映画で描かれている日本はヤクザ、タイは悪徳の都というイメージは普通なのだが、韓国は諜報員崩れで(またしても→「ソボク」)、韓国社会ではアンタッチャブルな稼業の人材供給元は秘密警察という設定にリアリティがあるのかと思うと興味深い。
コメントする