「言葉のウェイトが違う」ちょっと思い出しただけ Buさんの映画レビュー(感想・評価)
言葉のウェイトが違う
これまでの恋愛映画をフリにした、最高の恋愛映画だと感じた
ブルーバレンタイン、ララランドなど特殊な破局映画はこれまで幾つも作られているが、松居監督によって、また新たな発明演出が生まれる
1人で歩く道なり、ラジオ音楽、髪型、コロナなど恋愛に合わせたアイテムの伏線は悲しくも愛おしい
映画内で、文字通り映画みたいなセリフやシーンは多数存在するが、時をさかのぼることで嘘くさいセリフは意味を持ち、
重みが増し、ラストのダンスシーンで最高のカタルシスが生まれる
リアルタイムで観る価値がある映画でもある
コロナ禍のシーンが先に流れ、マスクを付けた観客は自分と重なり、コロナ禍以前のシーンは自分とリンクする
ニューヨーク屋敷について、
映画内の屋敷はニューヨークのラジオで喋る屋敷そのものであるが(実際に聞き覚えのある発言ばかり笑)、存在感、演技は映画に完全に溶け込む
尾崎世界観について
主題歌に合わせた、脚本のため、クリープハイプの主題歌とダンスシーンの弾き語りはもちろん最高だし、演技も良いのだが
主人公2人のリンクと演奏シーンは若干本物感が出るため奇妙というかドラマってぽく感じた(繋がりは言葉以外にも、たくさんあるということではあると思うが、主人公のアパートに他の人が住んでいた時代のシーンなどなどをみることでそれは伝わるので良いのでは)
これまでの映画同様
男は過去の恋愛を引きずり、女は次の恋愛に切り替えるが
女もちょっと思い出すことだってあり、未来へ進んでいく
コロナ禍の現代に戻る事で、この先の、映画館を出た後の観客の未来に続きを託す、
最高の映画でした
追記
ジムジャームッシュのパターンソンオマージュやリスペクト配役など、このような邦画での小ネタはあまり観ないので新鮮だった
また他人、人々の暮らし以外にも映画や作品などで繋がることもあると感じた