「個人的大傑作。今までの恋愛映画を過去にする素晴らしい構成と演出、そ...」ちょっと思い出しただけ しろぶたさんの映画レビュー(感想・評価)
個人的大傑作。今までの恋愛映画を過去にする素晴らしい構成と演出、そ...
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個人的大傑作。今までの恋愛映画を過去にする素晴らしい構成と演出、そして主演2人の見事で身近な演技に鳥肌の連続。きっと何度も見返したくなるだろう作品だ。
ジム・ジャームッシュのナイト・オン・ザ・プラネットが土台にある作品だけあって、随所に作品のサンプリングが光る。ウィナノライダー演じるコーキーが女優の誘いを断ってでも整備工になりたいという強い思い、そこからは彼女の自分の人生への強い決意が伺える。それはこの作品のキャラクターにも反映されている。怪我をしてもいつかまた踊りたいと願う池松壮亮。結婚し子どもが産まれてもタクシーを運転し続ける伊藤沙莉。亡くなった妻をベンチで愛し続ける永瀬正敏など挙げればキリがない。変わらない人生や夢、目標、生活。変わったのは2人の関係だけ。その変わってしまったたったの数年間は広い目で見ればほんの少しの煌めきだが、その煌めきがいかに尊いものだったかをこの映画は思い出させてくれる。
当時付き合ってひどい別れ方をしたとして、その時は嫌な思い出として記憶されるが、数年後にそれを記録として思い出してみると、さほど嫌な記憶でもなかったなぁ、あの人がいたから今の自分がいたんだなぁ、と淡く光出す。人生の中で良い悪い問わず積み重ね続けた思い出は、きっと今の自分の背中を押してくれる。そんな強く前向きなメッセージをこの映画から受け取れた。
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