「親密な空気から生まれる演奏に聴き惚れる。」劇場上映版 エリック・クラプトン ロックダウン・セッションズ 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
親密な空気から生まれる演奏に聴き惚れる。
反ワクチン派として声を上げていることもあり、ちょっと面倒な爺さんという印象が強まっているクラプトンだが、音楽に真剣に取り組んでいることは疑うべくもない。新型コロナのロックダウンでコンサート活動ができなくなった代わりに、田舎の屋敷で最小限のメンバーでセッションをして、その模様を世界に届けようというこの企画。その規模感からもアコースティックメインの演奏が多いのだが、とにかく「エレキギターの神様」と呼ばれてきたクラプトンのアコギ力から目が離せなくなる。
リラックスした空間での4人だけの演奏だから、巨大なPAシステムを通す必要がなく、とにかくニュアンスを大切にしているのも貴重。特にドラムのスティーヴ・ガッドの、繊細な表現でどれだけ可能性を追求できるかに賭けている音楽バカっぷりに惚れ惚れする。
クラプトンがこれまでのキャリアについてコメントする時間もあり、その発言の端々からきっと面倒な人なのだろうなと想像が膨らむが、いずれにせよ、パブリックイメージとは違う角度から人柄や演奏を間近で観られるとてもありがたい企画でした。
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