「深い理由も暗い過去もなくお金が好きでもいいじゃない」パーフェクト・ケア デブリさんの映画レビュー(感想・評価)
深い理由も暗い過去もなくお金が好きでもいいじゃない
序盤だけ、ちょっと辛い。高齢者が人生をかけて培った教養やセンスで選び、働いて稼いだお金で買いそろえた家具調度をたたき売るシーン、むごく感じる。自分がインテリアとか雑貨とか好きだから余計かも。家財オークションを見ている間はきっと眉間のシワがえらいことになってた。
別に主人公は義賊でもなんでもない悪党で、この映画は悪党と悪党のバトルなんだと了解できてからは快適な見心地。大金が必要な涙ぐましい事情やら、そういうのが一切ないのもこざっぱりして、かえって見やすい。
そこまでドライなさまが描かれるので、恋人が傷つけられたときに、悲痛な本当に切迫した表情になるのが際立ってた。エイザ・ゴンザレスかわいいし。
これは案外、フェミニズム映画だったのかもしれない。生き別れのわが子や病身の母親のためでなく、愛する彼女と面白おかしく暮らすために稼ぐ女がいてもいいじゃん。フィクションの世界なら男性には許されていること、女性が許されない理由はないはずだ。
余談で愚痴だけど、フジテレビでやってる「SUPER RICH」も、ここまで振り切れないにしろ、もうちょっと愛を傍流へ押しやって、女がすかっと生きるストーリーになってほしかったなあ。
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