コンペティションのレビュー・感想・評価
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それはないでしょ!という結末(悪い意味意味ではなく)
何の前情報も見ずに見に行きました。
この作品は劇中劇のようになっていて、物語の中である映画を制作していく流れになっています。
物語の映画の中の登場人物は世界的に有名な俳優二人と天才女性監督の3人で進んでいきます。3人とも世界トップレベルで、映画制作へ半端ない情熱をかけます。けれども3人ともクセが強すぎて、まったく噛み合わず、うまくいくんだろうかと終始不安にさせられます。そして、ぶつかり合う3人に笑えないのに笑える展開が次々と繰り広げられていきます。
いろいろなことがあったけど、これだけ情熱をかけたんだからきっといいものができてほしい、、という淡い期待を抱いてしまう単純な私でしたが、みごとに裏切られました。確かに、物語の中の作品のなかに伏線のようなものはありました。
刺激的で、「え...」とか「は...?」って言いたくなるような展開が続いていき、最後でまた衝撃的な結末を迎えます。私はすぐに物語の中に感情移入してしまうので、登場人物のふるまいに対して、最低で「人としてそれはなくない??」くらいに思えてしまいました。
終わった瞬間は、次々と繰り広げられる展開が意外すぎて開いた口がふさがらない感じでした。
でもそのくらい予想外であり、作品として面白かったです。
そして著名人の間でも非常に高評価らしいですので、ぜひ一度は見てみることおすすめです。
思ったほどめちゃくちゃな話ではない。期待通りの満足感。良かった。
映画の説明文を見るとなんか結構めちゃくちゃな話ぽく感じるが、実際は
あー、俳優ってほんと大変だよなと、それに、ほんと自分たちが良く知る有名俳優たちはいかに演技上手いプロなのかってことを改めて認識できる内容。
ペネロペ・クルスはこういう役、合うねー。
子供取り違えたお母さんで、そんなにくせのない役柄よりもこっちのほうが
彼女らしさ生きるって言うか。
ふふ・・・って笑える場面多く、予想通りの展開なので、安心して観れる。
むしろ奇想天外な方がいい人には刺激少ないかもしれないが、
間をゆっくり感じられて、あちこち見まわせる(シーンの背景とか)映画っていいなと思った。
出てくる建物、服、車など、要素的なものも美しく、まあ、お洒落な映画。
驚くようなこともなかったが、楽しめた。
それなりに楽しめた。
監督イカれてんな!
2023年劇場鑑賞71本目。
金持ちが名声を誇示するためだけに映画を作ると言いだし、イカれた監督に丸投げ、主演二人はソリが合わず・・・というコメディ。ペネロペ・クルスとアントニオ・バンデラス何回目の共演だよ!と思っていたらなんと2分以上同じシーンに収まっていたのは今回が初めてという事実が一番驚きました。
ペネロペ・クルス歳取らねぇなぁと思っていましたが思ったより若いんですね、キャリア長いからもう還暦近いと勝手に思っていました。このペネロペ演じる監督が相当ヤバい演出をする人として描かれていますが、だんだんこっちの方がまともに見えてくるくらい主演の二人が色々かますのが面白かったです。ある意味今公開しているマッシブ・タレントとテーマは一緒かもしれません。
ニヤリとなる良作
シニカルな笑みを浮かべながら張られた伏線に挑む
上映中のほとんどの時間はペネロペ・クルス、アントニオ・バンデラス、オスカル・マルティネスによる会話劇を見せられているような感じ。
他の出演者も含め、序盤から「今のシーンに何の意味が?」なんて感じでモヤっとするような、それでいてクスッと笑えるような不思議な感覚の連続で、それが終盤に向けて張られた伏線に気付いて行くような謎解き気分を味わいました。
終わってみれば「なるほどね、そうだったんだ」なんて腑に落ちた箇所もあれば、相変わらず「あれは何だったの?」の箇所もあり。
難解か繰り返して観ると今回気付かなかった伏線やその回収に気付く所が多そうな作品でした。
スペイン語の小気味よいリズムで何となくスルーしがちになるけれど、様々なテーマが散りばめられている、そんな感じを持たせてくれる、後を引くようなお話しでした。
それにしてもペネロペ・クルスって私の中では若い頃はルックスと恋愛の話しだけが話題になる俳優さんといったイメージだったのですが、少し前に観たパラレルマザーと今作の振れ幅の大きさを見て、年齢を重ねて素敵な演者さんになられたのだなぁと感服させられました。
3人3様のエゴ
この製作側の常人ではないところ、変態的なところが、素晴らしい作品を生み出すのだとしたらどうでしょう?映画好きな私は、素晴らしい作品が観れるなら、3人のエゴを最大限に利用してくれたら、、、とむしろ歓迎すらしてしまいました。
私は一映画ファンなので、映画界に及ぼす影響はゼロなわけで、単純に作品を楽しむだけです。私が賞を与える人間でも与えられる人間でも、エゴが勝ってしまうから一映画ファンで良かったのかもしれません。
だって、やはりアカデミー賞やパルムドールは欲しいですし目指すと思うんです。劇中でローラがトロフィーを破壊してましたが、フェリックスもイバンも一番動揺してたのがこのシーンでした。そんな人間の悲しい性を笑わせながら怖がらせてくれた作品です。
反復される兄殺しのテーマ
2021年。ガストン・ドゥプラット&マリアノ・コーン監督。後世に何か残したいという大富豪の出来心から始まった映画製作。ネームバリューで集めた監督と俳優とノーベル賞作家が書いた原作。もとになるストーリー、監督の演出、二人の俳優の個性がまじりあって化学反応を起こしていく過程を、すなわちそれが映画製作ということだが、シリアスかつコミカルに描く。
コンペティションはもちろん映画の受賞レースのことでもあるが、ここでは登場人物たちの競争心、ライバル心を指している。しかも、ライバル心から兄を殺す「兄殺し」の主題を持つ原作を演じる俳優たちが似たような「兄殺し」的状況になっていくのだから、神話以来の物語の定型として「兄殺し」の反復が絵が描ているのだ。だから、不可算名詞としてのcompetitionには、反復されるテーマとしての「兄殺し」が含まれている、ととれないこともない。
ダブルネーミングかなぁ…。
今年91本目(合計743本目/今月(2023年3月度)26本目)。
※ 時間調整のため「推しの子~」(アニメ作品)を見てから向かったのですが、アニメ作品にレビュー需要はないと思うので(メッセージ性のあるアニメ除く)、飛ばします。
さて、こちらの作品。
映画の中で映画を作ろうという、広くとれば「エンドロールの続き」に似たような展開のスペイン語版、ということになります(趣旨は若干異なるが、その趣旨を広くとった場合、というお話)。
そのスペイン語版ということなので、文化の理解がやや日本と異なり、「どうしてそういう展開になるのだろう…」という理解のむつかしさがそこそこあるかなというところです。
タイトル名の「コンペティション」は competition はいわゆる「コンペ」のほかに「競争(相手)」の意味もあります。映画を見ていただくとわかりますが、この2つの意味のダブルネーミングかな…という気がします(おそらくそう)。
一方でこの映画、突如男女同権思想の話をしたり、グルテンフリーがどうだのという話をしたりという「脈略のなさ」が妙な展開で(特に精神的に変な方は出てこない)、おそらく大人の事情(そういうことに触れると、スペインの映画の関係者から補助金でも出る?)のではないかと思いますが、出るだけでストーリーには何ら関係はしないです。
この「謎の思想哲学」はさらに映画の結末にまで登場し、「映画はいつ終わるのだろうか、ENDと出たときがそうだろうか、あるいは終わらないものだろうか…」という意味深な発言をしたままエンディングロールになります。そのような「特殊な発言」をするので、いわゆる「おまけシーン」でもあるのかな?と思うとそれもなし。この部分は明白に(今はコロナ事情は落ち着いているとはいえ)やや配慮不足というか、「いつ出たらよいかわからない」点で混乱するかなぁ…という気がしました(ただ、この映画、コロナ勃発前に作られたようで、どこまでの問題にするかは難しい)。
採点に関しては下記を考慮して4.7を4.5に切り下げています。
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(減点0.3/エンディングの終わり方が不明確)
・ 上記に書いたように、「映画はいつ終わるものなのか、ENDと出たときなのか…」といった哲学的な話をいきなりはじめます。そしてリアル映画でも、実際に「エンドロールの最後にもお楽しみがありますので是非見てください」という映画も実際にあります(マーベルシリーズなど)。この映画、このような発言が実際に出るので、何か「おまけ動画」でもあるのかなと思えば実はなし。このあたりは明確に配慮が欲しかったかな…というところです。
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む、むずかしい…
「映画業界の見てはならない裏側」、とチラシに載っているけれど、そもそもお金を払って観る価値がない映画だ、と思ったのでした。
とりあえず、ただひたすらサドマゾ的に
二人の俳優に映画撮影前のリハーサルを行なわせる、
というだけのお話です。
実際の作品はどんなものなのか、影も形も分からぬまま。
映画のリハーサルの仕方を撮影して制作者が喜ぶ映画ってのは、
ドライブ・マイ・カーでも同じ構図がありましたが、
あちらはちゃんと完成品の形も観客に示しているから楽しめたのです。
この作品は、いったいなんなんだろう。
リハーサルばっかりしていて、いったいいつ本番撮影が始まるのだろう。
と思っているうちに、完成記者会見があったりして、もうワケワカメ。
ストーリーは、と言えば、伏線がヘボなので、
きっとこのような方向に進行するのでは、と
思った通りにすべてが進行してしまうので、面白くもなんともない。
芸術的にどうなのか、と言えば、
ゲージュツ的でハイソで意識高い系の皆さんならば、
こんな作品でも、御理解なさるんでしょうか。
私には無理だ。
監督役のペネロペ・クルスは私の好みド真ん中の女優さん。
だけどね。
今回の演技は監督から振り付けられただけのものでしょ、と
ただただ、途方に暮れるだけなのでした。
映画は映画
天才と言われる女性監督が2人の大物俳優を起用してベストセラー小説の映画化を手掛ける話。
超金持ちのおっさんが自己顕示の為に何かしたいと言い出して、橋を作るのかと思いきや映画だ!となり巻き起こるストーリー。
読んだこともない本の映画化の権利を買い、監督に内容を説明させるとかどんなんだよ!な超絶金が全てな出資者という皮肉に始まり、癖のある女性監督の大物へのディレクション。
そして何だかコントの様な撮影風景も交えつつみせていき、しまいにはマウンティングですか…。
映画祭の様子にしても、お前らなに言ってんだ?な記者達への監督の対応がたまりません。
そういえば、ここ数年のアカデミー賞の選考基準も映画の良し悪しとは別のところに重きがありますからねぇ…。
ブラックユーモアともいえる映画界への皮肉たっぷりの作品でなかなか面白かった。
こんなペネロペ見たことない‼️
終わらない映画は確かにある
元々は、ある大富豪の
ジャストアイディアから転がり出た話。
製薬企業で財を成し、一万人の従業員を養う彼は
八十歳の誕生日にふと思い付く。
自分の名前を後世に残し、且つ
多くの人から感謝されるコトをしたい、と。
自身の名を冠した橋を(地域貢献宜しく)掛ける、と
同時に出たのが
「賞を獲れるような映画作品に出資する」との企画。
映画であれば短い期間で成果を出せるとの思いも有ったかも。
勿論、本人は仕事にかまけ、文化・芸術なんぞに
とんと興味は無く。
ノーベル賞受賞作家の(読んだこともない)小説の版権を金ずくで買い、
多くの賞を総なめにした監督をアサインする。
しかし、その監督『ローラ(ペネロペ・クルス)』は
相当に変わり者で、エキセントリック。
台本の読み合わせ時のメソッドも、
数学的のようで実は感覚的。
「※※の感情が三割」などと言われても、
普通であればとても対処できぬような。
或いは、5屯もある大石を
クレーンで俳優たちの頭上にぶら下げ
「緊張感を出すため」と、平然と言い放つ。
あまつさえ、彼等を身動きができない状態にしておいてから、
持って来させた過去の受賞トロフィーを
目の前で破砕機に放り込み粉々にする始末。
本当にそれは効果的なリハーサルなの?と
観ている側は首を傾げるが、翻弄される二人の男優の姿に
憐憫を感じつつ、思わず笑ってしまうのも事実。
一方の俳優『イバン(オスカー・マルティネス)』は舞台からの叩き上げ。
大学でも演劇の授業を持ち、自身の演技には自信満々。
他方の『フェリックス(アントニオ・バンデラス)』は
典型的なハリウッド俳優。
一種、軽佻浮薄で多くの女優と浮名を流しながら
その人気は知れ渡り。
両者は水と油でそりは合わず、時に騙し合い、
時に迎合し、何とかクランクインを迎えるものの
そのタイミングで、
思わぬ事件は起きる。
『ローラ』は事件の犯人を薄々感づいている。
が、それを暴露すれば撮影は中止となり、
折角の傑作の可能性も封印されることから口を噤む。
作品の為なら、多少のことなら目を瞑り、
加えて他人のアイディアすらもちゃっかり借用する精神性。
ここに我々は利己的な芸術家の「業」を見る。
これで犯人と監督は、フィフティフィフティの関係になるのだが、
この三人の造形には既視感が。
過去の映画で繰り返し描かれた来た監督や俳優を
カリカチュアライズして描いているのだと了解する。
作品はクランクアップし、
会見でも多くの記者を集め
鼻高々な、出資者・監督・俳優の面々。
果たしてヒット共に、受賞をし、
更な名声を得ることができるのか。
齢五十にもなろうかという
『ペネロペ・クルス』の存在感は素晴らしい。
ホットパンツを履き、
剃毛していない脇を晒し、
怪しげな踊りまで踊って見せる。
とは言え、
直接我々に語り掛ける
最後のシークエンスでのモノローグは深淵。
そこにこそ、映画の本質は凝縮されている。
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