「【”映画を競わせる祭典は、悪趣味です。”今作はどう見ても、ペネロペ・クルス、アントニオ・バンデラス等名優が、過去の映画製作の際の嫌な経験をシニカルコメディタッチで描いた作品である。】」コンペティション NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”映画を競わせる祭典は、悪趣味です。”今作はどう見ても、ペネロペ・クルス、アントニオ・バンデラス等名優が、過去の映画製作の際の嫌な経験をシニカルコメディタッチで描いた作品である。】
ー 今作は、現代映画界を爽やかに皮肉った業界風刺エンターテイメントである。-
■ある大富豪が自身のイメージアップのため、一流の女性映画監督ローラ(ペネロペ・クルス)と二人の俳優フェリックス(アントニオ・バンデラス)とイバン・トレス(オスカル・マルティネス)を起用した歴史的な映画を作ろうと思い立つ。
変わり者の天才女性監督ローラと、人気と実力を兼ね備えた世界的大スターフェリックス、そして老練な一流舞台俳優のイバンの3人が集結し、ベストセラー小説の映画化に挑む。
◆感想<Caution! 内容にやや触れています。>
・今作では、只管にある映画製作過程を、一流の女性映画監督ローラと二人の名優フェリックスとイバン・トレスのリハーサルの過程が描かれる。
ー この、数シーンがどう見てもペネロペ・クルスとアントニオ・バンデラスの世界的名優が、過去、映画製作の際に経験した”嫌な出来事”を描いているように見えるのである。-
■例えば・・。
1.二人が座っているシーンの上に、巨大な岩石がクレーンで吊るされているシーン。
ー 危ないよねえ。けれど、その岩石は張りぼてなのである。事前にその事を伝えられていない、フェリックスとイバンの引き攣った笑いの表情。可笑しいなあ・・。-
2.フェリックスとイバン・トレスの二人が一人の女優とのキスシーンに望むシーン。
ー 異常な程多いマイクが林立する中で、二人がキスシーンに臨むも、ローラ監督にダメ出しをされ、監督が”お手本のよう”にハゲシイキスシーンを魅せる姿。
クスクス笑えるシーンである。プライド、ズタズタの名優二人の表情・・。ー
3.様々な演技賞を獲得して来たフェリックスとイバン・トレスに、ローラ監督がトロフィーを持って来るように指示し、二人がテープでぐるぐる巻きにされている中、ローラ監督がそのトロフィーを裁断機に掛けるシーン。
ー 二人の名優が”それは止めてくれ!”と言う中、トロフィーが裁断機で潰されて行くシーン。
これは、どう見てもペネロペ・クルスとアントニオ・バンデラスが”様々な監督達に演技に駄目出しされた事を暗喩している。-
■そして、本番直前に、フェリックスがイバンに行ってしまった行為。
だが、映画はフェリックスがイバンの役も演じ、無事公開される。
無茶苦茶、シニカルである。
”どんな名優である映画俳優でも、変わりは沢山いるんだよ!”と言うシニカルなメッセージである。
<いやあ、今作、面白かったなあ。
映画製作を行う過程で、監督と個性的な俳優がぶつかる姿をシニカルコメディ風味を絡ませて描いた作品である。
ペネロペ・クルス演じる意識高い系の女性映画監督ローラに翻弄される、世界的名優である二人の俳優フェリックスとイバン・トレスの姿が実に面白かった作品である。>