劇場公開日 2023年3月17日

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「反復される兄殺しのテーマ」コンペティション 文字読みさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0反復される兄殺しのテーマ

2023年3月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

2021年。ガストン・ドゥプラット&マリアノ・コーン監督。後世に何か残したいという大富豪の出来心から始まった映画製作。ネームバリューで集めた監督と俳優とノーベル賞作家が書いた原作。もとになるストーリー、監督の演出、二人の俳優の個性がまじりあって化学反応を起こしていく過程を、すなわちそれが映画製作ということだが、シリアスかつコミカルに描く。
コンペティションはもちろん映画の受賞レースのことでもあるが、ここでは登場人物たちの競争心、ライバル心を指している。しかも、ライバル心から兄を殺す「兄殺し」の主題を持つ原作を演じる俳優たちが似たような「兄殺し」的状況になっていくのだから、神話以来の物語の定型として「兄殺し」の反復が絵が描ているのだ。だから、不可算名詞としてのcompetitionには、反復されるテーマとしての「兄殺し」が含まれている、ととれないこともない。

文字読み