劇場公開日 2023年11月17日

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「雰囲気は楽しめるが、せっかくの「仕掛け」が活かされていない」モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0雰囲気は楽しめるが、せっかくの「仕掛け」が活かされていない

2023年11月20日
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韓国人女優のチョン・ジョンソが、ミステリアスで得体の知れないヒロインのキャラクターにうまくハマっている。
ただ、彼女が何者で、どうして人を操る能力を持っているのかがまったく分からないため、感情移入のしようがない。
解説では、赤い月の夜に、突然、能力を手に入れたとあるが、映画を観た限りでは、そうした経緯は理解できなかった。
いくら、「理屈」ではなく「感覚」を楽しむ映画だとは言っても、もう少し、彼女の背景的なことについての説明があっても良かったのではないだろうか?
彼女の能力にしても、てっきり「The Witch/魔女」のような展開になるのかと思ったら、ポールダンサーの小遣い稼ぎみたいなことにしか使われないし、警察が追ってくるだけで、謎の組織との派手な対決もないし、ショボいことこの上ない。
ヒロインの超能力少女はさることながら、金のことしか考えていないようなポールダンサーよりも、案外「いいヤツ」でホッコリさせてくれるDJよりも、最も魅力的なキャラクターは、ポールダンサーの息子だろう。
彼の、歯に衣着せない言動にはニヤリとさせられたし、空港での自己犠牲にも胸が熱くなったが、それでも、せっかくの絵の才能が物語に活かされなかったり、母親との絆の強さを実感できるような描写がなかったのは、物足りないとしか言いようがない。
そもそも、海外に脱出するならいざ知らず、アメリカ国内に逃げるのであれば、わざわざ航空機を使わなくても、バスで移動した方が、見つかる可能性も低いし、料金も安上がりだったのではないだろうか?
夜のニューオリンズの猥雑な雰囲気には見るべきものがあるものの、少女の能力といい、タイトルにもなっている「モナ・リザ」といい、「赤い月」といい、登場人物たちのキャラクターといい、逃走劇のプロットといい、せっかく用意した仕掛けがすべて中途半端で、不発に終わってしまっているのは勿体なかったし、残念だった。

tomato
tomatoさんのコメント
2023年11月22日

本当にその通りですね。
やはり、「能力」については、もう少し説明してもらいたかったですね。

tomato
uzさんのコメント
2023年11月22日

特殊な才能や、能力の実験で施設に入れられてたのだと思ってたのですが…
あの感じだと、本当にただの精神疾患で、能力発現もたまたまだったのでしょうか。
序章、あるいは前編といった印象でした。

uz