劇場公開日 2023年11月17日

  • 予告編を見る

「チョン・ジョンソの瞳に“操られる”」モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン 和田隆さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5チョン・ジョンソの瞳に“操られる”

2023年11月14日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

笑える

楽しい

 赤い月の夜、隔離された精神病棟から始まり、まるで傑作ホラー「ソウ」(2004)を想起させますが、突如、特殊能力が覚醒するモナ・リザを演じるチョン・ジョンソの瞳に観客は一気に引き込まれてしまうでしょう。そして、そこから最後まで彼女に“操られて”しまっていたことに気づかないかもしれません。12年もの間隔離されていたモナ・リザは、レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた有名な肖像画のようには微笑まず、自由と冒険を求めて施設から飛び出し、彼女の逃走劇が始まるのです。

 イ・チャンドン監督「バーニング 劇場版」(2018)への出演で数々の映画賞を受賞し、Netflixで配信の「ザ・コール」や「ペーパー・ハウス・コリア 統一通貨を奪え」などの作品でも高く評価され、ブレイクを果たしたジョンソ。どこかミステリアスでクールな美しさを持つ彼女が、本作で魅せる無邪気さと恐ろしさをあわせもつ表情は確かな演技力を示しています。今の社会に息苦しさを感じ、今とは違う居場所を求めている人は共感してしまうのではないでしょうか。

コメントする
和田隆