「ドキュメンタリーと劇場映画」人と仕事 藤崎修次さんの映画レビュー(感想・評価)
ドキュメンタリーと劇場映画
俗に言うエッセンシャルワーカーであったり、シングルマザーやホームレス、施設入所者など社会的弱者と言われる人達のコロナ禍での生の声を伝える完全ドキュメンタリー。
いかにも、フジテレビの「ザ・ノンフィクション」あたりで取り上げそうな題材だし、実際、何度も扱われている。
わざわざ、劇場作品にするのなら、内容的に差別化を図っても良かったのでは?
例えば、コロナで苦しむ人々ばかりでなく、全く影響を受けずに暮らしてる人や逆に好機にして、利益を享受している人達だっているはず。制約のある中でもそういう人達あるいはそういう仕事も取り上げるという選択肢は無かったのか?
本来、撮影されるはずだった作品の主演2人(有村架純、志尊淳)をインタビュアーにして、市井の人々の声を拾う事の意味も今一つピンと来なかったのも残念。
それと後半部分はコロナ禍以前から社会構造的問題で取り残されがちな層の人たちが中心になって、コロナの影響とは離れてしまった印象。
全体的な感じとしては、見た人にコロナ禍の中での自分自身の立ち位置を見つめ直したり何かを感じ取って欲しいというメッセージ性よりも
森ガキ監督がエンタメ業界の一業界人として、制約だらけでがんじがらめの中でも何か発信をして自己表現をしたいという自慰的な印象が拭えなかった。
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