「緊張感に引き込まれる」クライム・ゲーム コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0緊張感に引き込まれる

2021年10月28日
PCから投稿

試写で拝見。
登場人物や組織が多すぎで、少々混乱気味にはなるものの、一斉に騙しあい、罠を仕掛け合う、緊張感のあるクライム・サスペンスでした。
黒人ギャング・ゴインズの視点で観たので、どうなっちゃうのかとハラハラする展開に引き込まれました。

場所がデトロイトで、黒人やホワイトトラッシュの多いスラム的エリアであることと、大手自動車メーカーが集中する「モーターシティ」となことだけ知っていれば、意味合いが分かるかと思います。
1967年の暴動事件が起きた地であり、治安の悪さは折り紙付き。

レンズの使い方が独特で、時折挿入される引きの画像が魚眼っぽく周辺をゆがませたり、収差でピンを合わせなくなったりという効果によって「客観視(第三者・神の視点)」であるときと、登場人物誰かの「主観」の視野であるときを分ける演出がされているように見えました。

公害問題の噴出した時代を反映しているのか、くすぶった美術や色彩いるのもまた特徴で、没入感を高めるのに一役買っているように思いました。
日本ではDVD & 配信のいわゆるビデオスルー状態になりそうですが、大きめの劇場でかけた方が真価が分かると思います。

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コージィ日本犬