「自虐の後、「郷土愛」を再確認。」翔んで埼玉 琵琶湖より愛をこめて ガバチョさんの映画レビュー(感想・評価)
自虐の後、「郷土愛」を再確認。
ギャグ映画の後世に残る傑作であるかも。「翔んで埼玉」第一弾は、世間では評判になったが、個人的には面白さがあまり伝わらなかった。その原因の一つは、設定をほぼ埼玉に限定したことにあった。埼玉を良く知る関東圏なら受けるが、所詮ローカルネタであり、それ以外の地方の人間にはピンとこないのだと思った。しかし第2弾はローカルネタでありながら、ギャグが普遍的なレベルになっていて、その地方の事を知らなくても楽しむことができるようになっている。
この作品の成功要因は、最初から「対立」を実に分かりやすく出して、最後までテーマがぶれないことにある。関西圏の対立だけではなく、元々のお題である埼玉内部の対立もしっかりギャグに仕立てている。関西のヒエラルキー、大阪とそれに同調する京都市、神戸市の支配に対して、虐げられる滋賀、奈良、和歌山の格差の描き方の面白い事。大阪の傲慢さと非道さに対して、滋賀らの地位向上にかける熱意には悲哀と執念が感じられる。一方埼玉は東京志向が強くて埼玉県人同士の横のつながりが弱くてまとまらない。浦和と大宮の低レベルの意地の張り合いもある。それらの対立が最後には、見事に(?)解決して爽快感がある。
ど派手な衣装や大げさな演技など、おふざけと割り切って楽しむことができる。「たこ焼き」「甲子園」「通天閣」琵琶湖」「とび太」など、分かりやすいネタ満載である。ギャグで思い切り笑って、「郷土愛」を再確認することができる作品である。
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