「ニュー咲きほこれ埼玉」翔んで埼玉 琵琶湖より愛をこめて ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
ニュー咲きほこれ埼玉
前作から四年経っての続編。撮影途中にGACKTさんが病気による休養やコロナ禍での大規模人数撮影のリスクだったりと、大変な道のりだったと思いますが、無事完成に辿り着いて良かったなと思いました。
前作の良かったところをそのままに、それでいてギャグの切れ味を増し増しにして、スケールアップした物語をしっかりと堪能する事ができました。
仕事関係で現在関西住まいなので、その点でも分かるネタが多かったです。
埼玉に海を作る計画を立てて、そのために和歌山の白浜から美しい砂を取りに行くために駆け出す大航海、そこで訪れた関西では不穏な事が起こっており…といったあらすじです。
今回は舞台が関西圏なので、埼玉ディスりは少なめですが、その分関西いじりが白熱していました。琵琶湖しかないと煽られ、滋賀の滋の下の部分が虫みたいでゲジゲジだと言われる滋賀県、とりあえず何もないと言われる和歌山県、大仏と鹿しかないと言われる奈良県、その状況を鑑みて東海地方に逃げた扱いの三重県と、兵庫・京都・大阪以外の県は全体的に貶されまくっていました。
大阪は粉物が強調されており、たこ焼きを食べたり、粉を浴びたりしたら関西弁でしか喋れなくなり、労働を怠るとたこ焼きスタンプを腹に付けられたりと大阪を過剰に表現している愛のあるいじりになっていました。
ゆりやんがレオタードを着てタコの建物と一緒に踊りまくるシーンは狂気的で、うなされている時に見る夢のような感覚に陥ってしまいました。
それぞれの都道府県の出身人物を掲げて力を見せつけるという他力本願な策略で敵味方問わずリアクション取りまくっていて面白かったです。不意のせんとくんは強烈でした。
今作の千両役者はとびたくんで、攻守にフェイクに自己犠牲と多くの役割を果たしてくれていました。鮒寿司も塗りたくられるという散々な目にはあっていましたが、水辺に打ち上げられた姿や水中に浮かぶ姿や、戦場に倒れている姿は哀愁を感じさせました。子供を交通事故から守るという役割を、滋賀の人々を守るという偉大な役割を果たしてくれていました。
通天閣に大阪のエネルギーを詰め込んで発射させ、全国大阪化計画というなんとも気の狂ったものをやりますが、そこで埼玉は行田タワー(田んぼを見るためだけに作られたわけないだろう!とエグいディスり方をしていきます)をぶつけるというもう振り切りまくった事をしていてゲラッゲラ笑いました。
平和になって小さなビーチを埼玉につくった後はネズミーランドに行こう!という中々ギリギリなところ(花火の演出も)を攻めており、こういうギリギリをつく作品は久々でなんだか嬉しかったです。
エンドロールでのミルクボーイの漫才も、こってりしたいた本編の後に添えられていてとても良いアクセントになっていました。
役者陣はやはりハマっており、前作から続投組は言わずもがな、杏さんはすらっとした抜群のスタイルや中性的な立ち振る舞いや声質と、美少年という感じが強調されたキャラで見事でした。
片岡愛之助さんのゴリッゴリの関西キャラが尖りまくっていて面白かったです。THE・悪役って感じでしたし、アドリブで入れられたシーンもキャラを際立たせていてとても良かったです。
興行的にも成功は間違いなしですし、第三弾もなんとかGACKTさんを説得して作って欲しいなと思います。世界に目を向けるのもありですが、愛知のことを名古屋と呼ばれることをあまり好んでいない愛知を舞台にするのも良いんじゃないかなと思っています。なんにしろ日本のコメディの現在最高到達点な作品でした。
鑑賞日 11/24
鑑賞時間 15:00〜17:10
座席 B-3