「【“悲しくないのに、涙を流すのは難しい。”自分自身が不幸な時だけ幸せを感じる、どう見てもアスペルガー症候群としか見えない男の姿を描いた不条理且つ狂気性漂う映画。】」PITY ある不幸な男 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【“悲しくないのに、涙を流すのは難しい。”自分自身が不幸な時だけ幸せを感じる、どう見てもアスペルガー症候群としか見えない男の姿を描いた不条理且つ狂気性漂う映画。】
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ー 全編、ヨルゴス・ランティモス監督の初期作品を思わせる作品だなあ、と思って手元のフライヤーを見たら、「ロブスター」の脚本家が書いた映画だった。成程ね。-
■ティーンエイジャーの一人息子と何不自由ない生活を送る弁護士の男性。
しかし、彼の妻は不慮の事故により昏睡状態に陥っている。
彼の境遇を知り、同情心から親切になる周囲の人々。隣人はケーキを焼いて届けてくれ、行きつけのクリーニング屋は、値段をサービスしてくれていた。
そんなある日、奇跡的に妻が目を覚まし、悲しみに暮れる男の日々に変化が訪れる。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・冒頭、男は一人ベッドの上で涙を流し、慟哭している。
そして、ラストも同じように男は涙を流している。
・男は終始、笑顔無き表情である。
・だが、妻が奇跡的に回復してからの男の行動が明らかにオカシイ。
- 愛犬をボートで海に投げ捨てたり、妻が回復したのに隣人にはわざわざケーキは未だですか?と真面目に問うたり、挙句の果ては自身の父と妻に対する行為である。
特に、父の場合は自らが手掛けた殺人事件を再現している。-
<実に気持ちが悪い映画である。
男は、どう見てもアスペルガー症候群を患っているとしか思えないし、後半彼の狂気が炸裂するシーン(直接的には描かれない。)などは、初期ヨルゴス・ランティモス監督の作品をやや彷彿とさせる。
例えば、男が部屋に飾ってあった海辺にボートが置かれている長閑な絵を、嵐の中遭難寸前の船を描いた絵に替えるシーンであろう。>
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