「降霊会に騙された」降霊会 血塗られた女子寮 Minaさんの映画レビュー(感想・評価)
降霊会に騙された
降霊会をテーマにしたホラー作品で、スプラッタホラーと宣伝されていたのが妙に気になり、そんなに暴力的な幽霊を召喚してしまったのかと思っていた。確かに降霊会を皮切りに女学生が一人ずつ命を落としていくという内容で、それも呪い等の陰湿な形では無く、刺す、切りつけるという物理的な攻撃によるものなのである。これらに若干違和感を感じていたが、こうやって彼女たちはたちの悪い幽霊に殺されていくのかと思っていた。だが、ここで忘れてはいけないのが製作陣だ。製作には「ザ・ゲスト」「サプライズ」のアダム・ウィンガード。低予算ながら豊かな発想力で度肝を抜く作品に定評があり、近年では「ゴジラVSコング」の監督を務めた。
そして、監督はアダム・ウィンガードと何度もタッグを組んでいるサイモン・バレット。大作こそ手掛けていないが、「V/H/S」シリーズや、「ビューティフル・ダイ」等を手掛けたプロデューサーだ。よく考えたらこの二人が揃ったらやる事は1つ。いかにして観客の度肝を抜くかだ。
本作は、降霊会というテーマを利用した、観客の思い込み等を一気にぶち壊すアトラクションの様な作品である。この2人あってのこの作品という感じだ。終盤に行くと畳み掛ける様に大きな大どんでん返しな展開が待っている。観客を驚かせる事に特化しているのには脱帽だが、過去作の「サプライズ」でもやや感じた、これをホラーと呼ぶか否かがやはり引っかかる。
演出の数々は匠のレベルだが、ホラーとして怖いかと聞かれると正直全く怖いと思わない。本作は「降霊会」という霊的な現象を少なからず期待してしまう内容であり、それが中盤までの展開として続いていく。いよいよ後半を迎えるタイミングで話の毛色が変わってくるのだが、それでの間が怖いとも思わず、ときめくストーリー展開も感じられずという駄作感丸出しの構成になっている様に思ってしまった。ここの恐怖に対する質を上げてこそ、後半の怒涛の展開が際立つのでは無いだろうか。それに関しては期待値を大いに下回ってしまった。だが、エンドロール後の爽快感は毎度の如く感じるものであり、やや安心した。
恐らくネタバレを読んでからだと相当勿体ない作品の為本レビューもネタバレフラグを付けておくことにする。