「デビッド・ロウリー監督はすごい」グリーン・ナイト 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)
デビッド・ロウリー監督はすごい
円卓の騎士のガウェインを主人公にした作品としては異色の切り口というか、彼は高潔な騎士のイメージが強いが、本作ではそんな高潔な騎士になる前の未熟な存在からスタートする。クリスマスに緑の騎士との約束(?)を果たすために荒涼とした大地をさまよいつづけるガウェインの苦難の旅路を幻想的な映像で捉えたこの作品は、魂を揺さぶる瞬間の連続だ。デビット・ロウリーの作品は前作もそうだけど、何気なく撮っているように見えてやたら全編ショットが完成されている。どこを切り取っても絵画的に美しいし、少ない動きとセリフでも見事に映像で語ってしまう。なんとくか、言葉の域を超えた経験を体験させてくれる旅路に面出されたような、映画館から出た後には、世界が違って見えてしまう。別世界に人を連れ出してしまう傑作。華々しいアドベンチャーではなく、荘厳な宗教的な旅路。啓示を受けた気分になる。
コメントする