「どうして...」デジモンアドベンチャー02 THE BEGINNING こうさんの映画レビュー(感想・評価)
どうして...
往年のデジモンファンです。
ここ最近のリブート作は全て見ています。
今作はtry.ラストエボリューションの続編であり、それらと同じような物語の展開になっています。
つまりパートナーとの関係性に何らかの問題を抱えた新キャラが現れて、それをどうにかするといったお話です。
そしてさらに重要な点としてtry.のホメオスタシスとデジタルワールドのリブート、ラスエボのパートナーとの期限に加えて、新たな後付け設定が加えられました。
子供たちとデジモンのパートナー関係は、本映画新登場デジモン、ウッコモンがパートナーの願いを歪めた形で叶えたことで構築された、というものです。
なんですか、これは?
どうしてリブート作品は毎回毎回余計な設定を、しかも誰も得しない、作品を汚すような最悪の情報を後付けするんですか?
昨今デジタルの世界が当時と比べても目覚ましく発達しているので、起点となる問題やテーマなどいくらでもありますよね?
なのにどうしてわざわざこの3作品は根幹となる設定を歪めるようなことをするのでしょうか?
ウッコモンなんですか?
そもそもシナリオ展開も雑です。
ウッコモンとの会話が足りなかったからおかしな形で願いが叶えられた、ということですが、8歳になるまで4年もあるのにそこが問題とは思えません。
ウッコモンがあそこまで歪んでいて、都合よく消えたり現れたり、バケモノになったりする理由は特に明かされず、シナリオ上敵として動かすためにただただ雑に扱われています。
やたら生々しい虐待描写だけはリアル感がある一方で、突然不審者に一言告げられて改心する母親。
ありえないでしょ。
なんなら腹立てて余計酷い虐待を行いますよ。
毒親家庭で育った人ほどあのシーンはモヤモヤすると思います。
児童虐待を揶揄しているんですか?
ルイが世界中に友達が欲しい、強い守ってくれる人が欲しい、と望んだから人間とデジモンのパートナー関係を生み出した、って意味不明ではないですか?
目を負傷したら自分の目を移植する。
そうはならんでしょう。
願いを叶えることができるならもっと簡単で願いに沿った叶え方がいくらでもあるのに、ウッコモンを悪役にする為にめちゃくちゃ遠回りで歪んだ叶え方にしています。
シナリオライターの物語の生み出し方に悪意がありすぎて共感できません。
世界中の人間にパートナーデジモンが突如出現することは社会的な混乱を生むかもしれませんが、それを選ばれし子供達が止めようとするのは一種の傲慢ではないですか?
そして最後にデジヴァイスを消したことでラスエボのパートナー期限を無くした、ということなんでしょうか?
太一とアグモン、ヤマトとガブモンがかわいそうじゃないですか?
ラスエボが茶番になりませんか?
冒頭のメッセージの可能性がどうだのなんだのも今となっては腹立たしいものでしかありません。
そりゃ好き勝手に設定いじって、雰囲気で適当にごまかしてゴリ押せばどんな希望の可能性もあるでしょうよ、フィクションなら。
大人になったタケルを匂わせる為に適当なこと書いてるだけなんでしょうが。
おそらく「大人になろう!」と言ったメッセージ性を目指してリブート3作品は作っているのでしょうが、こんな子供騙しにもならない物語を見せられても心も動かないし、子供の頃の思い出が昇華することは決してないですよ。
むしろきちんと責任を持って過去の作品を描き直す制作陣営こそよく考えるべきです。
適当に小遣い稼ぎができればいいと考える、嫌な意味での大人になってはいませんか?
良かった部分はパートナーデジモンたちの進化シーンと街中を飛び回るシーンです。
特にインペリアルドラモンはカッコよかったです。
ドラゴンモードはいつも通りただの乗り物ですし、ファイターモードがギガデス一発打って終わりですが。
戦闘シーンはその一言で終わってしまいますね。
結論としては、デジモンをよく知らないか、あるいは嫌いな人たちが作った映画だと思います。
どうかテイマーズにまで魔の手が伸びませんように。
公式に声明を出して欲しいです。
「リブート3作品はあくまで過去のデジモンシリーズを元に作った同人作品であり、オリジナルとは全く関係のないパラレルです。」
と。