POP!のレビュー・感想・評価
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「私はケツに見えます」と言えない全てのオトナ達へ
ケツです。
最初はそんなこと思ってなかったんですが、某所で主人公が屈むシーンで初めてしっかりと頭部が映った時。
私、思いました。
あ、これケツ以外の何物でもないわ、と。
私達は何者なのか。
何のために生きているのか。
…そう問われた時に、はっきりと答えられる大人はそんなにいないと思います。あって一部の専門職の人くらい。
でも、我々大人ってよく子どもに言っちゃうんですよね。
夢は努力すれば叶う的な。
将来なりたい自分になれ的な。
でも頑張った結果がオケツじゃん。
そこに愛なんてないじゃん。
あるのはケツだけじゃん。
でもそのケツを輝かせるために、大人は今日も毎日頑張るわけです。
犯人が愛用していた弁当箱の情報を必死に掻き集めて、日銭を得ているわけです。
ある意味、何かにならなきゃいけないと思ってる若者に対して、別に何にもならなくても大丈夫だよというアンサー的な映画かと思いました。
…でもあのヘアースタイルは誰か止めてやれよ。
詩情に欠ける
ストーリーを追っていくっていう話じゃないの。だからシーンの面白さでつないで欲しいんだけど、それが今ひとつだったな。画がそこまで綺麗でもないし、笑いが取れるわけでもない。「主人公のキャラ説明のためのシーンだ」と思うのが多かったな。
小野莉奈はもっとやれる。野村麻純が良かったよ。
誰が見ても意味不明。
よく、こんな脈略のない台本が書けるものだと思う。
意味不明、何を言いたいのか、さっぱりわからない。
8日程度で撮影して、順撮りしていないようなので、演じる方も意味がわからなかったのではないだろうか。
これでも、上映する映画館があるということに驚かされるが、まあ、とにかく上映している訳なので、つい観てしまった人もいるのではないか。
確認したい方は、ぜひ劇場へ!
【繋がっているようで繋がっていない世界】
※ トークイベント付き
映画はちょっとシュールな感じだ。
途中、どうなることかと心配にもなったけれど、徐々に、こんなことがテーマなのかなと考え始めるような感じだった。
僕は、繋がっているようで繋がっていない僕たちの世界を表しているのかなと思った。
映画を企画する段階で、主人公・柏倉リン役の小野さんが二十歳を迎えるころだったことも、子供と大人の境目の存在という発想に”繋がった”というようなことをお話しされていた。(※)
(以下ネタバレ)
冒頭で、タバコを購入する場面で、きっちり年齢確認をする店員とお客の間のもめごとがあるのだけれど、そんなところにも意図が含められているのだ。
この映画には、違和感がいっぱいある。
意図したのであろう違和感だ。
女優志望だが女優になれていないリン。
でも、チャリティ・サポーターとしてテレビには出演している。
募金が集まらないチャリティ番組だ。
子供の笑顔の写真で、どう募金が上向くのか。
その理由など示されることなどない。
親戚の子供の年齢さえあいまいなリン。
ハートの形は、逆さにするとお尻に見えるとか。
何も破壊しない爆弾魔。
ほとんどお客のない駐車場。
アルバイトに来ない沼田さん。
持ち主不明の青い車。
リンは、プリンセス・オブ・パーキング、つまり人気のない駐車場の「POP」なのだが、これは、誰も観ていないテレビのチャリティサポーターのリンと実は同じだ。
子供と大人の間の溝もそうだが、実は僕たちと社会の間の溝も相当深い気がする。
それに、ネットで繋がるなんて言うが、繋がっているようで繋がっていないのが僕たちの世界なのではないのか。
そんなことを考えてはじめて丸く収まるシュールな作品だった。
でも、もうひと声って感じかな。
若い時くらい目立ったって良いじゃない
チャリティー番組『明日のアース』でオフィシャルサポーターを務める柏倉リン。
番組では「世界平和」を掲げて募金を呼びかけるが、現実では上手く大人と噛み合わない。
そんな彼女の19歳、コドモとオトナの境目の物語。
舞台挨拶付きで鑑賞。
なんとも奇妙で奇抜な映画体験だった。
Aru-2氏のお洒落な音楽の流れる中で繰り広げられる、リンのシュールでリアルなファンタジー。
ぼんやりと生きているけど、なんだか満たされず、将来もはっきりと見えない。
「自分の夢ってなんだっけ。自分は何になりたかったんだっけ。」
彼女の姿は今の自分とすごく重なった。
爆弾魔に突きつけられる、ハートか?ケツか?問題。
そんなのどっちだっていいと大人からすれば笑うポイントかもしれないが、リンにとっては物凄く深刻な問題。
真面目が故に空回りしたり、間違った方向に進んでしまったり。
純粋すぎるリンちゃんを救ってあげたいと思っていたけれど。
髭をつけて車を運転して、どうやら彼女は心配なさそうだ。
あまりの異色さに賛否は分かれそう。
ただ、三河悠冴さんが舞台挨拶で仰っていたのだが、鑑賞後脳裏に浮かぶシーンがかなり多い。
かなり刺激的な体験ができるのは確か。
個人的には、AIスピーカーとのやり取りがツボ。
どこか恐ろしくも切なく、楽しくも退屈で、心地よくて気持ち悪い。
この作品、忖度なしで好きです。
DON'T FORGET TO SMILE
19歳の売れないタレントの仕事とアルバイトと無垢でマジメな人生観の話。
地方局の世界平和を謳うチャリティー番組「明日のアース」のオフィシャルサポーターを務めつつ、暇な駐車場の管理人のバイトをする主人公で、大人に為れていないというより世間知らずで苦労知らず?
言いたいことは合っているけど、ストーリーとは関係のないショートコントから始まり、わかるわーと感じさせてくれるこの監督らしいニヤケどころを織り込みつつ、周囲の人との交わりで些細な違和感を募らせて行く様が、なかなか面白かった。
ただ、インパクトという意味では内容にしても笑いにしても足りなかったかな。
比較的擦れていない若い人には共感出来るところも有るんじゃないかな。
大人になるための赤信号、シュールで可愛い迷い人の行方は
いろいろ刺激的で濃ゆい作品なんだけど、まず触れたいのは、青いマーチルンバが可愛かった。それはいいとして…。
いい塩梅の効いた特濃ハートフルコメディ。思春期とはまた違ったステージにある大人の狭間に、今の自分が重なる。
主人公が19歳から20歳の狭間。ここまで歩いてきたけど、意外と何もないことに気づく。それにどこか親近感と余韻を覚える。確かに自分も夢は持っているが、具体的に進む方法や手順は何も分からない。プカプカ浮かんだモノだけが遠くで光っている。いいのか悪いのか分からないまま、そこにある。同時に、大人の諦め方なんて知るはずもないから、片付けないで何でも聞く。共感と違和感、シュールさを引きずりながらグイグイと我が物に持っていく面白さがある。
主演は小野莉奈。常々思うのだが、彼女のキャリアは着実に根を張るような人に写る。そんな彼女がシュールな被り物をして、それが答えだと押し付けられた枠組みで葛藤する様はどこか儚い。諦めているわけではないが、希望を見出そうとも思ってない。純粋さと理屈っぽさが入り交じる塩梅が効いている。グランプリ獲るのも、女優賞を獲るのも納得だ。
決してはっきりとしたメッセージを投げつけてくるわけではないのだが、不思議と内容を平らげると、美味しかったと思える。ムーラボらしい音楽の使い方といい、チャーミングで不思議な世界観をリアルと交わる違和感が堪らない。マーチルンバもその1つ。POP!の意味が分かったとき、どことなく彼女の向かう道が見えた、気がする。
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