「Rock The World」グッバイ、ドン・グリーズ! ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
Rock The World
試写会にて鑑賞。メイン声優3人がジャンプ主人公を務めてきた花江夏樹さん、梶裕貴さん、村瀬歩さんとこの布陣だけでもアニメファンとしては鼻息が荒くなってしまいます(花澤香菜さんもジャンプヒロインなので鼻息マシマシです)。
この作品を観る前にいしづかあきこ監督の前作、「宇宙よりも遠い場所」を配信で見たのですがこれがまた面白くて、女子高生が己の力で南極を目指すという無謀にも近い夢を全力で叶える姿がとても美しかったですし、船上での辛さ、見下してきた人たちへのリベンジ、女子高生らしいワチャワチャと、とにかく隙のない面白さが詰め込まれていた傑作アニメでした。
その制作チームが再び集結して作られた今作。前作では女子4人がメイン、今作は男子3人がメインと配置が真逆になっているのも前作とは近い雰囲気を感じつつもまた違う冒険を観れるんだという興奮に浸っていました。
今作、一夏の小さいけれど壮大な冒険を短い尺でしっかり描いている作品でした。自然をバックにハイスピードで駆け抜けていくというアクション、それぞれが抱える葛藤、それに対して向き合い深める友情や絆、いざそうならないと気付かない「死」への感情、と様々なテーマを多くふんだんに詰め込んでありました。
ドロップの死が唐突に描かれるのもSNSなどで著名人から身近な人の死を知れてしまう情報社会の末恐ろしさを体現しているようでした。ドロップの病気の事は作中言及されませんが、そこに余韻が残されていてとても胸が苦しかったです。そこでドロップが髪を伸ばして寄付していた事をアイデアの一つにしてロウマとトトも髪を伸ばし、それを切って寄付し、そこで貯めたお金でアイスランドへと向かい、新しい冒険を始めるという展開もくどくなく程よいバランスでの場面転換でした。
ドロップとの出会いがまさかの電話ミスという偶然の奇跡、これがまたぶっ飛んでいながらも感情を揺らしまくってくれる素晴らしい伏線回収でした。国境を越えて友情を生み出すという、もう感動しちゃいました。背景の美しさも相まって涙がちょちょぎれてしまいました。
オリジナルアニメの新たな傑作です。ぜひ劇場へ。
鑑賞日 2/8(試写会にて)
鑑賞時間 18:30〜20:10
座席 E-8