「ミッションインポッシブルな青春舞台劇の傑作!」半狂乱 Blog_Machinakaさんの映画レビュー(感想・評価)
ミッションインポッシブルな青春舞台劇の傑作!
「夢はあるが、夢で終わる。」将来も、明日に生きる道さえも辿れない29歳の若者が人生の一発逆転を掛けるミッションインポッシブルな青春舞台劇の傑作!
200人近くのエキストラの前で繰り広げられる阿鼻叫喚の地獄は、社会に苛まれる若者のメタファーだ。
特に、舞台に出演する女優が劇場閉鎖事件の首謀者(同じ舞台役者)の指示によって凌辱されるシーンは見ていて苦しくなると同時に、女優としての実力と魂を感じた。
「美里朝希」という女優を覚えるだけでも、今作は十分な価値がある。
自分を中心に回るセカイ系の中で、もがき苦しみながら何かを表現しようとする若者の姿に、かつて「何者」でもなかった自分がシンクロし、終盤では涙した。
若者の青春と犯罪を絡めた作品は数多くあるが、ここまで痛々しく、生々しい作品もない。
少しずつ解きほぐされる謎。ミステリー独特の快楽を得るのも束の間、再び時間は舞台開演に戻り、新たな謎が提示されていく。
また、随所にブライアン・デ・パルマ好きが十二分に伝わるシーンも魅力的で、青春舞台劇になぜか「ミッションインポッシブル」や「ファントムオブパラダイス」を彷彿とさせるシーンが含まれており、観客を飽きさせない。
もっと知りたい、もっと見たい。
1秒たりとも飽きずにスクリーンに目を落としていたら、気づけば上映が終わっていた。
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