劇場公開日 2023年9月15日

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「現代日本を比喩しているかの様だ。」アリスとテレスのまぼろし工場 ひろちゃん千葉さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0現代日本を比喩しているかの様だ。

2023年10月2日
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鑑賞方法:映画館

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鉄鉱石が取れる製鉄所のある街。
ある日製鉄所で爆発事故があり時空が裂けた?
その日からこの街だけ何も変わらない、時間の進まない、サザエさんの様な世界になった。
いつまで経っても冬のまま、妊婦はいつまで経っても子供が生まれず妊婦のまま、中学生は何年経っても中学生のままの姿で何年も時間の進まない世界に街ごと閉じ込められた。
そしてこの世界では何かを変えようとすると時空の裂け目ができて不安定な世界になってしまう。
よって何も特別な事はしない、変えようとしない事で自分達の世界を守る事にした。
何もしなければ製鉄所から謎のオオカミの様な煙が時空の裂け目を修復してくれる。
そんなヘンテコな世界が舞台の物語。
中学三年生の正宗と同級生の謎の少女睦美、
睦美が製鉄所で世話をさせられている謎の少女五美。奇妙な世界の恋愛と青春群像劇。
何も変化も許さない、新たな恋愛すら御法度。
心の大きな揺らぎですら時空が不安定になる。
危ない事をやっても死なないし大怪我もしない。
その代わり掟を破った者は煙の狼に消されてしまう。
窮屈感と欝屈した何も進まない世界。
そこをどうやって打ち破るのか?打ち破れるのか?住民の選択は現状維持か改革か?謎の少女五美とは何者なのか。

どこが現代日本の比喩かと言うと日本と言う閉じた世界での世界との乖離、何かを良くしよう世の中を変えようと言う事への圧力みたいな物を感じる所。今のままで変える必要は無い、今のままで良いのだと言う消極性が日本の発展と繁栄を阻害している様に感じる。それ故に日本は衰退の道に入っている。しかし本人達はそれに気付いていない。この映画の中の街そのものだ。
そう言った皮肉すら感じる。
是非映画を見て感じて欲しい。

ひろちゃん千葉