「設定が雑すぎる」アリスとテレスのまぼろし工場 映画.ffffさんの映画レビュー(感想・評価)
設定が雑すぎる
まず、一言で言うと観ている側に作品の世界観や人物像を伝えるのが下手で説得力に欠ける作品だと思いました。
たとえSFでアニメとは言え、設定というか世界観が分かりづらい上に曖昧過ぎます。本作の設定は「現実の世界」と「生と死の間のタイムループの世界」と「パラレルワールド」と「タイムスリップ」を合わせたような感じなのですが、ルールが曖昧で、タイムループの世界に閉じ込めらえれた人達は歳を取らない割には考え方や行動は成長したり、季節は変わらないのに天候は変わったり、またルールを破るとあちらの世界に連れていかれてしまうようですが、同じようなことをしても連れて行かれる人と、行かれない人がいたり、私には最後までルールがよく分かりませんでした。設定に無理があり過ぎて、作品が設定を消化しきれてない感じです。
各キャラの描き方も不十分でそれぞれの個性や魅力が伝わってこないので感情移入や共感もできません。また、恋愛要素も絡めてくるのですが、気持ちの変化が唐突であり不自然で、応援したくなるようなものではありませんでした。
さすがに終盤ともなれば目的がハッキリしてきますが、私にとっては時すでに遅しで、ラストにイツミとムツミがどうなろうがどちらでもよく思えてしまいました。そもそも、現実の世界に帰ることが良いのかどうかもよく分からないし、どれくらいの期間ループしていたのか分かりませんが、イツミが現実の世界に戻れたとしても、いつの時代に戻れたのでしょうか?
長くなりましたが、SF作品というのは科学的や論理的な矛盾点を探そうと思えば、どんな作品にでも多かれ少なかれあるものだと思います。ただ、面白い作品の場合はそれを許せたり、それが気にならないくらい物語に夢中にさせてくれるものです。本作のように鑑賞中に色々と気になる点が出てくるというのは、結局のところ作品自体がつまらないからだと思います。
追記>
・どのみち作品全体が面白くなかったので、細かいことを言っても仕方ないかも知れませんが、社家の佐上って必要なキャラでした?私には佐上のキャラがこの作品をよりつまらなくしているように思えて登場する度にイライラさせられていました。
・もう一つ悪い意味ではなく気になったことがあるのですか、ムツミが自らスカートをめくり上げて下着を見せるシーンがありますが、あまり他の作品でああういったシーンを見た記憶がなくて、私が知らないだけかも知れませんが、あれは女性(監督・脚本・原作)ならではの発想なのでしょうか?男性は異性に対して突然ズボンを下ろして下着を見せたくなる衝動には駆られないと思うのですが、もし、女性特有の感覚だとしたら、新鮮で面白かったです。