「新種のアイデアが見事に企画倒れしたハイブリッド・ホラー」ブラッド・レッド・スカイ 徒然草枕さんの映画レビュー(感想・評価)
新種のアイデアが見事に企画倒れしたハイブリッド・ホラー
オーソドックスなホラーのモチーフには、悪魔に魔女、吸血鬼や狼男、ミイラ男にゾンビといったものがあるが、ホラーが乱作される近年はこのモチーフに別の怖かったり強かったりするモチーフを組み合わせるハイブリッド・ホラーともいうべき作品をよく見かける。
例えば吸血鬼vs.ナチス、エイリアンvs.ナチス、幽霊vs.ナチス、エイリアンvs.エクソシスト、エイリアンvs.カウボーイ等々…そして今度は吸血鬼vs.ハイジャック犯という訳で、ま、こんな作品を観たことのある人はいないだろう。それはそうだ。誰もこんな作品を作ろうなんて思わないもんなぁww
狭い飛行機の内部でどう戦うのだろうという疑問はさておき、凶悪なハイジャック犯と不死身の吸血鬼が死力を尽くして戦うと想像するだけで、なにやらワクワクするのはホラー好きの愚かな性か。躊躇いなく本作を見始めたのである。
ほお、こんなふうに吸血鬼になったのか、ハイジャック犯は期待通り凶悪で殺され甲斐がありそうだ…などと思いつつ観ていくと、吸血鬼の母と子の母子愛がやたら前面に出てきて、何だか鬱陶しい。
それに引きずられて吸血鬼が全然獰猛にならない。人一人くらい、あっという間に引き裂いてしまえばいいのに、ずいぶん弱っちい吸血鬼だし、ハイジャック犯のグループももっと残忍に乗客を虐殺したらどうだっちゅーのw
そうこうするうち、今度は噛まれたハイジャック犯もすぐに吸血鬼になって仲間を襲い始めるわ、善玉の吸血鬼と悪役の吸血鬼に分かれて戦い始めるわで、もう収拾不能状態。
全員吸血鬼じゃ面白くもクソもないし、空港に待機した警察が誤解して吸血鬼化した乗客をどんどん救出でもすれば、また違った展開も期待できたのだろうが、そこまでいかずに全員皆殺しとは、開いた口が塞がらないのであったww