「ビーストウォーズ勢の登場によってもたらされる新たな物語」トランスフォーマー ビースト覚醒 中野祐治さんの映画レビュー(感想・評価)
ビーストウォーズ勢の登場によってもたらされる新たな物語
『バンブルビー』で生まれた“原点回帰の温度感”を保ちながら、再びシリーズらしいスケール感へと広がっていくのが『トランスフォーマー/ビースト覚醒』の面白さ。
公式サイトでも紹介されていたとおり、今回は「ビーストウォーズ」勢の参戦という大きなサプライズが物語の中心に据えられている。
人間側の主人公ノアは、サムのように“運命に巻き込まれる少年”ではなく、“家族を守るために前に進む青年”として描かれ、彼の真っ直ぐな覚悟がオプティマスプライムの心を揺らしていく。
特に、オプティマスがノアの行動を通して“人間への信頼”を取り戻していく流れは、シリーズの中でも一番自然な信頼構築に感じられたポイント。
オートボット側では、リーダーであるオプティマスの葛藤が丁寧に描かれる。
仲間を守ることと地球を守ること、そのどちらも背負う彼の迷いが、ノアとの交流によって少しずつ溶けていく。
この“プライムだけど完璧ではない”姿が、逆にめちゃくちゃカッコいい。
そこに現れるのがマクシマルたち。
オプティマスプライマルの登場は圧倒的で、公式サイトで見ていたビジュアル以上に“王としての風格”があるし、彼らが地球の歴史に深く関わってきたことが分かる展開はまさに胸アツ。
ビースト族のしなやかな動きや重量感あるアクションは、オートボットたちの金属的な戦闘とは違った魅力を追加している。
アクションシーンも視認性が高く、キャラそれぞれの見せ場が明確。
変形から戦闘への流れも滑らかで、“何が起きているか分かる気持ちよさ”がしっかりある。
クライマックスでは、人間・オートボット・ビースト族が肩を並べて戦う姿が熱く、その先のシリーズ展開を示唆するラストの一言はファンならニヤリとするはず。
総じて、“原点の熱さ”と“新しい広がり”がバランスよく融合した作品で、今後のトランスフォーマー世界の方向性を期待させる一作。
