「kokiに釣られて」牛首村 U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
kokiに釣られて
たしか昨年度の新人賞を獲ったような覚えがあり、鑑賞に至る。賞レースの常である忖度が働いたのであろうとゲスな観点で見始めたのだが、見終わってその辺りの印象はとても失礼な先入観であったと謝りたい。
kokiさん、素晴らしかった。
ファーストカットからなんと堂々たる佇まいであろうか。ご両親が有名なので感じるプレッシャーなども感じる箇所が違うと思うし、気負いもあったろうと思うのだけど、おくびにも見せない。
きちんと自立し、役と作品に対してとても真摯に向き合っていたように思う。
想像だけど、監督の演出のその先を体現してたのではないだろうか?俳優としての感受性とかセンスとか勘のようなものが先天的に備わっているかのようだった。
作品はホラーであり、組立的にはもうなんでもありな状態でもあるのだけれど、ちょいと珍しいなと思うのは、その頻度である。
唐突に、伏線が挟み込まれる。
その結果どうなるかと言うと、物語に引き込まれているわけもないのに、画面を見続けてしまう。
つまりは「怖いもの見たさ」の好奇心が勝ってしまうのだ。そんなやり方をしてきたかと、妙な感想を抱く。
アマプラで見たせいもあって、画面がやたら明るく鮮明なので、雰囲気という点では相当損なわれてもいる。
冒頭、youtube的な画面と、現実の描写の色味が全く変わらない程鮮明なのは、致命傷にも思う。
全編通して、笑顔や可愛い表情のなかったkokiさんが、ラストに見せる笑顔はとても愛くるしく、作品的にま救われたりするのだけれど、また蒸し返すような構成は、お約束だとしても、ソコではなかったように思う。
まぁ、冒頭打ち出した“神隠し”の話が、いつの間にか双子限定の話にシフトもしてしまい、それに関連する人達の死が“呪い”的な安直な解釈の域から外れなかったのが、残念と言えば残念。
なぜ死なねばならなかったのかが釈然としない。
異空間の制約もよく分からない。
過去の描写でタイムトラベルのような位置付けに感じてたのだけど、村人達がこぞって異質なものへと変化していくし…どうにも一貫性に乏しかった。