劇場公開日 2021年6月22日

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「第九番」地球交響曲 ガイアシンフォニー 第九番 osincoさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0第九番

2021年7月24日
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鑑賞方法:映画館

龍村仁監督による渾身の作品。
地球と深く関わる人たちにフォーカスを当てたドキュメンタリーシリーズ。
今回は最終章と言われる第九番。

スタートは指揮者のコバケンこと、小林研一郎氏。
ピアノでベートーベンのことを語りながら、鍵盤で和音を鳴らしていくのですが、不覚にもこのシーンでいきなり涙が出てしまいました。
子供の頃にベートーベンの和音に初めて感動したことを、つい先ほどのことのように、ハッキリと覚えているようでした。その恍惚の表情に、思わずグッときてしまいました。

ベートーベンは、自分のルーツであり、目指すものでもあり、作曲を諦める理由でもあったそうです。

ある日のオーケストラの練習シーン。コバケンは楽団員にこう言います。
「あの時あの場所で聴いた時は、この部分は聴こえないくらいの音だった。それをいつか自分も表現してみたい、と思ってた。いま皆さんにやってもらいます。」

初心を忘れずに、純粋に突き進んできた人。
自分の思い描いたものを、大勢の能力を開花させながら表現していく。
マエストロという存在の特殊性に改めて驚かされました。
練習風景などの背景を知ることで、『第九』の聴こえ方が全く違うものになりました。

実は、他の2人を目当てで観に来たところが多かったのですが、コバケンさんのなんとも言えない人柄にやられたなぁー。

本庶先生の法然寺での墓参りのシーン、龍村の名の墓石が映ったのは、龍村監督と何か関係があったのでしょうか?

osinco