「まるで誰かの夢の中にいるよう」MEMORIA メモリア ダーレムさんの映画レビュー(感想・評価)
まるで誰かの夢の中にいるよう
アピチャッポン・ウィーラセタクン作品は狐につままれたような、それでいてある種の幸福感を残していく。
今回も、異邦人である主人公が自分だけに聴こえてくる鋼を叩くような音の正体を求めて、知人を頼り、コロンビアの街中を歩き、人々に尋ね、森の中へ分け入るのを観るうちに、時空や我彼、現実と空想、生と死の境界すらなくなり、コロンビアの色濃い緑の中に溶け込んだ自分が居た。
そこに「在る」非現実的なものさえリアルに感じられて、まるで夢の中のようだった。
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