「バーホーベンの修道院異端背徳物語」ベネデッタ シネマディクトさんの映画レビュー(感想・評価)
バーホーベンの修道院異端背徳物語
今だに名前の前につく代表作が、『ロボコップ』とか『トータル・リコール』のポール・バーホーベンの新作は、中世フランスの修道院で起きた事件を題材にしたドラマです。とは言っても、中身はやはりのバーホーベン印で、反体制的で、残酷なバイオレンスやインモラルな描写がたっぷりです。80代にして、ブレない所がアッパレです。文字通り地獄の沙汰も金次第の態勢や、聖痕を利用した修道院内部の権力争いなど、世俗まみれの教会への強烈なアイロニー従来の彼の作品にも通じる所です。神の姿や声が聞こえたり、聖痕が発現する主人公の信仰心は、真実にも宗教的な幻覚やヒステリーによるものにも思えるし、一方で同性愛にふけるのは信仰を否定しているようで、あえて主人公の矛盾した心理を曖昧にしているのが面白かったです。役者では、ビルジニー・エフィラの美しさが際立ち、少女のような表情から愛欲にふける表情まで、うまく演じ分けています。シャーロット・ランプリングは、貫禄たっぷり。
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