「「菅総理、お疲れ様」というムードに対抗するためのワクチン」パンケーキを毒見する トダー・オートマタさんの映画レビュー(感想・評価)
「菅総理、お疲れ様」というムードに対抗するためのワクチン
現役総理大臣を題材にした、この映画に興味をもって観ようと思っていたのだが
個人的な理由によって、観るのが遅くなり
結果として「菅総理が総裁選不出馬」ということがわかってから
映画を観ることになりました。
ほとんど政治ドキュメンタリー映画を観てなかったのだが
内容は予想以上に面白かった
本作は映画の製作期間のためか2021年6月くらいまでの情報までしかなかったが
オリンピック・パラリンピックのところも補完をして
完全版として上映してもよかったのではないかと思う。
本作の予告編を見ると
「菅総理に批判的な人ばかり出ているな」という印象があるが
実は菅総理の支持者にも取材を申し込んでいたらしい
だが支持者は取材を全員断った
この映画では菅総理の問題として
学術会議任命拒否問題の答弁について
まともに答えないところを映していたり
そのうえ、記者会見で国会答弁と矛盾をしたことを言ったりする
さらには、赤旗で政治とカネの問題も追及される
「菅総理バクチ打ち説」みたいなものが出て
梶山静六を担いだり、麻生内閣で総選挙に出たりして
大勝負を繰り返してきたが
2012年にバクチに勝利し安倍政権の官房長官となり
そこから、2020年9月に総理大臣にまでなった
そしてバクチ打ちの気質は総理になったあとの政策にも波及する
GOTOキャンペーン、コロナワクチン、オリンピックなど
そのなかで大きく成功はしたのはおそらくコロナワクチンくらいだと思うが
また、安倍政権も菅政権も
裏でマスメディアに接触し
圧力をかけているという描写がある
加計学園問題の証人としてでてきた
元官僚の前川喜平は杉田官房副長官から
圧力らしきものを受けたという
現実として、前川氏は『出会い系バーに出入りしている』という記事を書かれ
バッシングを受けた、
ただ、思ったよりも出会い系バーについては貧困調査という建前は崩していないが
気楽に話しているなという印象がある
そして、同じく2015年あたりに「I am not ABE」で話題になった
元官僚の古賀茂明も圧力を受けたので
抗議のためにあのような行動に出たとしている
この映画は菅政権がテーマだが
半分くらいはメディアと国民の政治に対する姿勢がテーマだと思う
例えば、メディアの人間は菅総理と会食をすると
大半はかなり批判のトーンが弱くなるらしい
メディアに対しては「桜を見る会問題」をスクープした
「しんぶん赤旗」はその圧力にも屈しないように描写されており
そして、日本共産党と連携をすることによって
疑惑を追及するというシーンがある
これは日本共産党の強さを表したものだろうが
野党共闘をするときに逆に障害になるのではないかとも感じてしまった
そして、国民とくに若者は自民党を支持している人がかなり多い
理由としては単純に「テレビで与党のことばかり映している」とか
「野党は反対ばかりというイメージ」とかあり
そういうのが理由らしい
ということで、政権がでたらめやってても選挙に勝ってしまう
じゃあ、現在支持率低下している野党は勝てないのかというと
立憲民主党の江田憲司氏は「選挙になれば野党にも注目があつまるから希望がある」
といっていた
しかし、2021年9月5日現在は
総裁選に菅総理は出馬しないという方針になったので
これから誰が総裁になるかわからないが、新しい顔での選挙となると
国民の意識がリセットされて野党は相当苦戦を強いられるのではないかと感じている
この江田氏の希望は打ち砕かれるという予感が杞憂でなければよいのだが
今年は確実に選挙がある
国民の投票率を確実に上げる方法は
石破茂議員が「法律で投票を義務にすれば、確実に投票する」と半分冗談で言っていたが
さすがにそれはよくないだろう
だから、総裁選で誰がトップになるかわからないし
新しい総裁が安倍政権、菅政権の問題をどう取り扱うのかもわからないが
国民は主体性をもって選挙で投票をすべきだと思う
そして、菅総理が総裁選不出馬をすることによって
「菅総理お疲れ様」とムードが出てきて
過去の問題を水に流すということにならないように
この映画が「ワクチン」になるのではないかと思っている