「こんな諦めのよすぎる国民に誰がしたのだろう?」パンケーキを毒見する グレシャムの法則さんの映画レビュー(感想・評価)
こんな諦めのよすぎる国民に誰がしたのだろう?
正確には覚えてないのですが、20年くらい前に読んだ村上龍さんの小説『希望の国のエクソダス』の中にこんな言葉がありました。
この国には何でもある。だが、希望だけがない。
読んだ当時、今の日本の閉塞感の要因のひとつには、そういうことがあるのかと妙に納得した記憶があります。
ということは、今の若者は既に希望が見出せない状況が常態化している中で育ってきたということでもあるのですね。
希望が持てなければ、わざわざリスクを取って海外留学なんかしないし、始めから諦めている人が何かとの闘いや葛藤を経ることもないし、何に対して怒るのかも分からない。
経済格差が学歴格差やその後の人生のありかたにまでこれほど直接影響するという状況についても、仕方ないと思ってる若者が私の周りにも結構います。
映画の中の若者も自己責任という言葉を使っていましたが、大人が思う以上に〝屈託なく諦めている〟ように感じます。
大きな社会的混乱を招くことなく、経済資源や文化資産を少しずつ取り崩しながら、静かに国が老衰していく。
うっかりしてると、それも仕方がないことかもしれない、などと日本人全体が諦めてしまいそうで、ぞっとします。
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