劇場公開日 2021年7月2日

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「レディ・デイとリンダ」BILLIE ビリー 万年 東一さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0レディ・デイとリンダ

2023年9月9日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

興奮

関係者が登場して偉人を語るインタビュー映像ばかりな定番のドキュメンタリー映画に飽き始めた昨今、カラー映像で蘇るビリー・ホリデイの歌唱シーンが鮮烈でそんな彼女の生い立ちから生涯の全てに暗い影が幸せの一欠片でさえも望めない、ジャーナリストであるリンダが1960年代から10年間に及ぶビリー・ホリデイに関わる人物にインタビューをした録音テープの音声で構成された本作、ジャズに詳しい訳でもビリー・ホリデイについて無知過ぎるので入り乱れる人物に混乱してしまう複雑さ、これをリンダ自身で世に出せなかった無念と音楽映画として明るくて楽しく鑑賞することは出来ないビリー・ホリデイの生き様に驚くばかりで。

人種差別や薬物依存、ダイナミックに思える男関係や同性愛、付き合う男性からの暴力や虐待に対するあの時代の考え方が今では全く通用しない、少しニーナ・シモンとも似たような境遇で、男から搾取される女の図だけは今も変わらない事柄なのかもしれないが、生きることに不器用すぎて痛々しい。

万年 東一