「歌って踊らないがインド映画らしさが残る良作」囚人ディリ つとみさんの映画レビュー(感想・評価)
歌って踊らないがインド映画らしさが残る良作
インド映画といえば、歌とダンスもあるマサラムービーを想像する人が多いかと思う。しかし近年のインド映画は、日本公開時に切られているのか元々ないのか判断出来ないが、歌ったり踊ったりしない作品が増えた。
マサラしなくなったインド映画はどうなったかというと、クオリティが残念なハリウッド映画のようになってしまったのだ。
それでも、インド映画らしさを残す作品も少なくない。
では、インド映画らしさとは何か。インド映画好きとして最近分かったことは、風とスローモーションとリアリティのなさ、そして群衆だと気付いた。
ちょっとバカバカしいくらいでいいし、ちょっとあり得ないくらいでいい。インドらしく人はワラワラ出できて欲しいし、主人公の初登場シーンはスローモーションがいいのだ。
もちろん歌って踊ってくれたほうがもっと嬉しいわけだが。
本作は、主人公ディリのパートと警察署に立てこもるナポレオンたちのパートに分かれて物語が進む。
ディリの目的地が警察署であるから双方無関係ではないが、両面作戦のようなスリリングさがある。
主人公ばかりが目立つわけではないところはインド映画的には目新しい。
無尽蔵と思えるほどに出てくる名もなきインド人がバタバタと倒されていき、トラックの荷台にも倒れたインド人。画面の中にインド人だらけ。しかもオッサンばかり。だがこれでいい。これがインドらしさ。
歌って踊らないがインド映画らしさを残した良作。
インド映画好きにはかなりオススメできる。
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