「いつまでも幸せに暮らしましたのその後は…」魔法にかけられて2 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
いつまでも幸せに暮らしましたのその後は…
おとぎ話(ファンタジー)の世界のお姫様が現実(リアル)の世界へ。
それをアニメと実写でユニークに、自社のパロディ的でありつつディズニー王道として描いてみせ、魔法をかけて。
そのお話には続きがあった。
ディズニーは『イントゥ・ザ・ウッズ』でもおとぎ話の“その後”をブラックに描いたが、こちらの“いつまでも幸せに暮らしました”のその後は…?
15年ぶりの続編。
お姫様の運命の相手は王子様ではなく弁護士だった。結ばれたジゼルとロバート。成長したモーガン。新たに産まれたソフィア。
“幸せなど永遠に存在しない世界”でも真実の愛や幸せを見つけ、いつまでも幸せに暮らしていた…筈だった。
ロバートは仕事に追われ、モーガンは反抗期真っ只中のティーンエイジャーに。ゆっくり育児も出来ず、いつしかNYでの暮らしはジゼルにとって理想とは程遠いものになっていた。
アンダレーシアのような幸せな暮らしを求めて、郊外の町“モンロービル”に引っ越し。
が、そこでは町の有力者マルヴィナが“女王様”で、新築もまだ工事は終わっておらず、ロバートは通勤で毎日早起き、NYに戻りたいモーガンは不満を募らせ溝は深まるばかり…。
これが夢見てた幸せ…? ジゼルはかつてのアンダレーシアでの暮らしに思いを馳せるようになる。
アンダレーシアから王になったエドワードと王妃になったナンシーが赤ちゃん誕生と引っ越しの祝いにやって来る。
贈り物を。アンダレーシアに伝わる“願いの杖”。
ある時ついつい、ジゼルはその杖で願う。アンダレーシアでのような暮らしを。
すると、町に異変。町も住人もおとぎの世界のように…!
前回はおとぎの世界から現実の世界へ。
今回は現実の世界がおとぎの世界に。
相変わらずユニークに捻ってくる。
おとぎの世界になったモンロービル。名付けて、“モンローレーシア”。
住人たちは歌い、毎日ハッピー。
ロバートは中年だけど心は若き王子様で、ドラゴンや巨人退治に奮闘。
皮肉交じりの反抗期だったモーガンは幸せを夢見る女の子に。
リスのピップもまたお喋り。
ジゼルもまた歌い、今度こそ幸せになれると思っていたが…。
モーガンがおとぎ話で言う所のピュアで健気な娘なら、私は…?
おとぎの世界になる前、モーガンに言われた“継母”。
ちょっと待って。おとぎの世界で“継母”って言ったら…。
ジゼルに異変。ジゼルだけではなく、町やアンダレーシアにも異変が…。
お姫様が今度は継母に。これまたユニークに捻ってくる。
エイミー・アダムスもアラフィフ。ハリウッドでその年齢になると、ファンタジーでは悪役が多く回ってくるとか。
前作から15年。一応時の流れと歳相応を汲んでいるのかもしれないが、あのピュアだったジゼルが定番とは言え闇落ち。
しかしながら元のジゼルと継母ジゼル。二重人格のようにコロコロ性格が入れ替わる演じ分け。
意地悪な継母から悪い女王へ。もはや貫禄。
アカデミー賞ノミネート通算6回を誇る名女優となったエイミー・アダムスのさすがの巧演。
モンローレーシアにはすでにヴィランがいる。マルヴィナ。
おとぎの世界にヴィランが二人! 座を巡って、マレフィセントとクルエラが闘うみたいなヴィランvsヴィラン。
マーヤ・ルドルフも快演。
エイミーvsマーヤの歌や魔法バトルはある意味ド迫力!
今回パトリック・デンプシーは出番少なめ。ジェームズ・マースデンも出番は少なめだが、こちらは期待通りのおバカっぷり。
イディナ・メンゼルは出番が増えた。彼女の為に用意されたような歌唱シーンで、美声をたっぷり。
今回もう一人の主人公となったモーガン。難しい年頃のティーンエイジャー、おとぎの世界のヒロイン、最後はキーを握り、こちらもこちらで凝った役回りを、新星ガブリエラ・バルダッチノがフレッシュに。
引き続き音楽や楽曲はアラン・メンケンが担当。新曲もたくさん。
今回もディズニー作品へのオマージュや小ネタ、パロディもいっぱい。
おとぎの世界になったモンローレーシアは『美女と野獣』の村風。
継母ジゼルとピュアな娘モーガンは『シンデレラ』。
マルヴィナは“鏡よ鏡、鏡さん”。
ピップはリスからヴィランのペットの定番の意地悪ネコに。
今回も楽しく攻めてます。
ジゼルの悪い女王化は止まらない。夜中の12時を過ぎたら元に戻れなくなる。
また、町を変えるほどの強力な魔法は何処から…?
アンダレーシア。
そのせいでアンダレーシアは滅びつつあり…。
アンダレーシアが無くなったらその世界の魔法も住人たちも皆消える。つまり、ジゼルも…。
町の危機、アンダレーシアの危機、ジゼルの危機…。
救いを託されたのは、モーガン。
どうやって…?
“願いの杖”と“思い出の木”。
それを使えるのはアンダレーシアの“本当の娘”だけ。
私は“本当の娘”じゃないけど、でも…。
“思い出は最強の魔法”。
ちと話を捻り過ぎて、確かに前作の方がシンプルに面白く楽しく感動も出来た。
15年という歳月や新鮮さにも乏しい。
でも、全くの及第点。
いつまでも幸せに暮らしましたの後は、またまた魔法をかけて、いつまでも幸せに暮らしました。