「【明治の広島・西条で後世”吟醸酒の父”と呼ばれた三浦仙三郎の「百試千改」の魂は令和になっても、死なず。今作は”一流のモノ作りに必要なモノは何であるか。”をキチンと描いた作品である。】」吟ずる者たち NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【明治の広島・西条で後世”吟醸酒の父”と呼ばれた三浦仙三郎の「百試千改」の魂は令和になっても、死なず。今作は”一流のモノ作りに必要なモノは何であるか。”をキチンと描いた作品である。】
ー 令和、東京での夢破れ広島・西条の酒蔵の実家に戻った永峰明日香(比嘉愛未)を軸にした酒蔵の人々と、明治に度重なる”腐造”や次々に家族を喪う境遇に苦しみながらも不撓不屈の精神で、酒造りに取り組む三浦仙三郎(中村俊介)やその妻ソノ(戸田菜穂)の姿を交互に描きながら物語は紡がれる。-
■東京で夢破れ、故郷・広島へ戻ってきた永峰明日香。
実家は酒造家・三浦仙三郎の杜氏の末裔が継いだ酒蔵で、養女である明日香は幼き頃から酒造りに興味を持っていたものの、実家を継ぐことはそぐわないと避け、東京で暮らしていた。
そんな折、父・亮治が突然倒れる。
◆感想<Caution! 内容に触れています。>
・明治期の酒造りの難しさー 硬水と軟水では仕込み方法が違う。-という今では酒好きであればある程度は知っている事を、一から見つけ出そうと四苦八苦する三浦仙三郎の姿には、モノ作りを生業とする者にとっては響くものがある。
・三浦仙三郎が次々に家族を亡くし、最後には子が出来なかったため貰い子の娘まで亡くしても酒造りを諦めない姿。そして、低温醸造法を見つけ出すのである。
ー あんな姿を見せつけられたら、昔気質の杜氏でも平伏するよな・・。-
■令和の時代、柵を自ら解き父の想いを汲んで酒造りに勤しむ明日香の前に現れた三浦仙三郎が言った言葉。
”儂の酒造りを継いでくれるんか・・。”
<そして、明日香は周囲の協力の下、倒れた父が三浦仙三郎が作った”花心”を現代の嗜好に合わせるように醸造所職員(川上麻衣子)の協力の下、深化させた酵母を使って”追花心”を作り上げるのである。
今作は”一流のモノ作りに必要なモノは何であるか。”をキチンと描いた作品なのである。>
NOBUさん、お邪魔します。
誰が最初に作ったのかは忘れられてしまっても
作られたモノはその後も誰かの役に立ち続ける。
だからこそ、先人の苦労が偲ばれるエピソードは
いつ見聞きしても飽きることが無いです。
この作品も良い作品でした。