「暗過ぎる」ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー いかとさんの映画レビュー(感想・評価)
暗過ぎる
本作は全体を通して、これでもかという程暗過ぎる。
前作の主人公を演じたチャドウィック・ボーズマンが死亡してしまったが故に、全てそれに引っ張られていると思った。
死亡が報道されて皆が悲しみに暮れていたと思う。ただ、本作はそれから2年経っている。
思い入れは強いが、思いの外立ち直っているというより、この世にいない事を受け入れてしまっている。
故に、キャスト陣やスタッフと観客側(私個人)で、映画に対して求めるものが違っていたんだと思う。
なので、結構そのギャップに苦しんだ。
個人的には、また格好いいブラックパンサーが見れると思ったのだが、最初から最後までお葬式ムード。
前作は、まさに格好いい!というような魅せるシーンが多数あり、興奮や胸の高まりを感じたものである。しかし、今回はそうゆうのが無いく、淡々と話が進んでいく印象。
そして、暗い。暗過ぎる。
シュリがスーツを着て登場したシーンは格好良かったものの、その内心は復讐心に駆られているという状態だった。個人的には、音楽や演出がプラスな感じになっているのに、当の本人が全くプラスのメンタルになっていないのがどうにも違和感を覚えた。
見た目の情報と見えない情報に若干のずれがあるように感じ、盛り上がったと思ったら、実際は盛り上がっていなかったみたいなのが少なくとも2回以上はあった気がする…
シュリのスーツにキルモンガーの要素があるので、そこから少しは汲み取れるとは思うが…
アイアンハート、彼女に関しては否定派である。
個人的な意見ではあるが、EGで命をかけて世界を救ったアイアンマンの代わりなんて要らないと思っている。
少なくとも彼の意志はスパイダーマンへと継がれてるわけだし、そもそもやる必要がないと思ってる。
でも、登場するならそれなりのリスペクトがあるだろうと思ったけれど、アイアンマンに触れる事なく話が進むので、テメェは何だ?となった。
ドラマでそこら辺は拾われるんだろうけど、ルーツくらいはちゃんと描けよと心底思った。
1番許せないのは、ヴァル。
こいつ、ドラマやら何やらで暗躍してるが、本当に嫌いで顔も見たくないレベル。出てきても盛り上がらないし…
本作の1番の元凶でありながら、一切のお咎めがないという胸糞展開。
タロカンの人間たちからすれば、自身の環境を脅かす装置を作った人間を要求するのは間違えてないし、殺すのを分かってるからこそ阻止するために模索するワカンダ側も理解できる。でも、何故そこで戦ってしまうのか…
ここで共闘してヴァルを討ってくれた方が個人的にはスッキリした…
正直、私はブラックパンサーは代役を立てるべきだったと思っていた。
もちろんチャドウィック・ボーズマンが至高なのはわかる。ただ、あの世界にいるのはティ・チャラだ。チャドウィック・ボーズマンを見送る演出は他にも色々できたはず…
撮影時期が死亡してから時間が経っていないというのもあるけれど、それなら延期してもよかったと思う…
結果的に、シュリが継ぐ事になったけれど、最近のMCUはポリコレを配慮しすぎたためか、他作品でも見られる女性キャラへの継承と同じ扱いで見てしまった…
シュリのように、ちゃんとした理由があっての今回の継承があるのは分かるが、他作品があまりにも女性やら有色人種ばかり継承させるために、どうにも純粋な感情で見れない。
もちろん、原作に登場していることは認知してるし、存在そのものを否定するつもりはない。
ただ、フェーズ4に入り、完全新規で且つ、主役が白人男性の単独ヒーローは1人も登場していないので、ポリコレへの意識は否定できないと思う。
この年のMCU映画は、MOMやソーも合わせて、全体的に暗かったなという印象。
EGでひと段落したせいか、イマイチ今のMCUにハマりきれず、フェーズ4は全体的に微妙な作品が多い印象。
質より量になってきたなと思った…