「トップガンに対するマーベルスタジオの答えがここにある」ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー po.bacardiさんの映画レビュー(感想・評価)
トップガンに対するマーベルスタジオの答えがここにある
チャドウィック・ボーズマン亡き後のブラック・パンサー。結論から言うと第三次世界大戦の端緒の見える2022年にマーベルが出した「文化としての映画」の主張がみごとに結実した傑作となった。
今年もたくさんの戦争が映画の中に描かれた。しかし実際に飛び交い続けるミサイルの下で、どうフィルムが抗うのか。ワカンダ族の闘いの最後に、主人公の彼女は剣を置く。ディランの風に吹かれてが流れたような気がしたのは僕だけだろうか。
西側のネオリベラリズム膨張に対する自己反省もこの映画の副題でもある。敵役の水の民はロヒンギャやクルド民を始めとする周辺国の象徴なのだ。
やはり、アメリカは捨てたものではない。今年、エンターテイメントの仮面の元に、これほどまでに世界平和を語り切った映画はあっただろうか。かたやトップガンはブッシュ時代のイラク侵攻を今更なぞった。天と地以上の差がある。浅いようで、限りなく深い一本。
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