「新たなヒーロー誕生の物語。いかにしてティ・チャラの死を乗り越えるのか。」ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー はまたろうさんの映画レビュー(感想・評価)
新たなヒーロー誕生の物語。いかにしてティ・チャラの死を乗り越えるのか。
チャドウィックボーズマンが亡くなり、ブラックパンサーをどうしていくのかは気になっていました。今作ではCGなどでティ・チャラを描くようなことはなく、あくまでティ・チャラは思い出の中だけにあり、偉大な王で守護者であったティ・チャラの死をシュリが受け入れるまでを描きます。
冒頭のティ・チャラのマーベルイントロではボーズマンのイラストが多用され、それだけでも涙がポロリしますが、アフリカらしい明るい葬儀シーンなどが余計に寂しさを演出します。
シュリがあまりに可哀想じゃないかと思うところもありますが、王族に生まれたものとして乗り越えなくてはいけないことなのでしょう。
アクションはありますが満載ではなく、あくまでシュリがティ・チャラの死を受け入れ、新たな指導者になるまでの話です。
ミッドナイトエンジェルやアイアンハートなど新ヒーローもありつつですが、脇役に徹していて邪魔になりません。
ラストシーンでのシュリの涙はロケーションの美しさ以上に美しく、ボーズマンへの花向けになったと思います。
最後のティ・チャラの息子とのシーンですが、王位に関わらないようにと言いつつ自分が王子であることを教えているという点に引っかかってるレビューがあったのですが、あれはキルモンガーのような存在を作り出さないためのティ・チャラの優しさだったと個人的には解釈しました。
以下あらすじ
ティ・チャラが病死し、喪に服すワカンダ。ティ・チャラの母ラモンダが即位しヴィブラニウムを狙う列強諸国から守りながらも、分配をしないために列強からは批判を浴び、世界からの孤立していった。
そんな中、アメリカはヴィブラニウムの探知機を開発し海底にヴィブラニウムを発見するが、正体不明の敵に襲われ多くの命を失う。アメリカを疑う。一方ワカンダには鉄壁の国境警備にも関わらず謎の種族が現れ、ワカンダの存在暴露により自分たちのヴィブラニウムが狙われているとしてワカンダに探知機の開発者を引き渡すように協力するか対立かを迫る。
オコエとシュリは探知機の開発者が黒人の女子学生リリであることを突き止め、ワカンダでの保護を申し出るが同時にFBIがリリの確保に動き、逃走劇に。逃走成功の瞬間に謎の種族の襲撃を受け、リリとシュリが拐われてしまう。
シュリは謎の種族の神であるネイモアが自分たちの海底帝国を守っていく使命があることに共感するが、リリを渡すことはできないと伝える。ネイモアは残念がるが、危害は加えない。
ラモンダはティ・チャラの恋人でスパイのナキア
を頼りシュリの救出を依頼。手段は問わないと伝える。ナキアはシュリの救出に成功するが、シュリの世話をしていた海底種族を殺してしまう。
激怒したネイモアはワカンダを急襲。ラモンダたちは対抗するが力及ばず、ワカンダは大きな被害を受け、ラモンダはリリを救うために死んでしまう。ネイモアは一週間後に地上壊滅のためにワカンダを再度襲うと伝え撤退する。
王となったシュリのはリリの協力を得てハート型のハーブ(ブラックパンサーの力を得る薬草)の再生に成功し、自ら実験台となる。深層意識の中でシュリはラモンダとの再開を期待していたが現れたのはキルモンガーだった。キルモンガーはティ・チャラのように気高く生きるか、自分のように指名をやり遂げるか、とシュリに問いかける。シュリはキルモンガーに戸惑い答えを出せないが、ブラックパンサーの力を得て新たな守護者となる。復讐に燃えるシュリをエムバクは諭すが、シュリは聞き入れない。
ワカンダは空母を引き連れタロカン帝国へ先制攻撃を行うが徐々に劣勢に。シュリはネイモアとタイマンで戦い、辛くも勝利する。とどめを刺そうとした瞬間、ラモンダの声が響きシュリは今成すべきことを再考しネイモアに同盟を投げかけ、対立は終わる。
リリを無事に返したシュリはナキアのいるハイチを訪れる。美しい海岸で喪服を燃やし喪が明ける儀式をし、一定の区切りとしたシュリ。そこにナキアはティ・チャラとの子どもを紹介する。