「複雑な感覚」ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー syuさんの映画レビュー(感想・評価)
複雑な感覚
チャドウィック・ボーズマンは偉大であったと再認識させられる追悼作品。
冒頭5〜10分ほどでいきなり泣かされる。
ティ・チャラの葬儀はとても悲しいけれど、光景・映像としてはとても美しい…。
その複雑な感想・感覚・感情がまた、このシーンを(言葉として正しいかはわからないが…)盛り上げてくれている。
「あぁ、彼(チャドウィック・ボーズマン、ティ・チャラ)は皆からとても慕われていたんだな」
と感じさせられる、素晴らしいオープニングでした。
そして始まる、残された者達の成長と戦いの物語…
なのですが…
正直なところ、私個人としては「満足!」とは言えない感じでした。
確かにティ・チャラは王としてもヒーローとしても偉大だったと思います。
そしてそれを演じたチャドウィック・ボーズマンも偉大だったと思います。
ですが、作品(づくり)としてはそれを混同してほしくなかったな…というように感じてしまいました。
MCUでのキャラで言えば、フェーズ1〜3までの最初から最後までを支えたトニー・スタークも亡くなっています。
しかし葬儀シーンこそあれど、その後の作品でトニーの居ない世界をひたすら物悲しく描いたり、トニーとの絡みや思い出を映像で繰り返し見せてくるというような表現はありません。
なのでどうしても今回は「俳優チャドウィック・ボーズマンの死を作品に過剰に上乗せしている…」ように見えてしまいました…。
もちろん今回の作品が「ブラックパンサー」の続編であり、主役が妹のシュリだからこそのストーリーや演出なのはわかります。
…が、それでもやはり少しやりすぎではないか…と…。
新生ブラックパンサーもちょっと簡単に誕生してしまったというか…
再生されたハーブだけでいきなり戦闘可能な超人になれてしまうんだ…と思ってしまいました。
ティ・チャラやキルモンガーのように、肉体や経験・鍛錬などがベースにあり、そこにさらにハーブの力が加わって初めて超人になれるのだと思っていましたが…どうやら違ったみたいです。
そのおかげで、本当の超人のはずのネイモアが…なんだか弱く見えてしまいました…(弱らせた上で戦っていたとはいえ…)
アイアンハートは今後ドラマが控えているので評価が難しいところですが、
それでもこちらもやはり簡単にアイアンスーツが完成してしまった印象です…。
それほどワカンダの技術・設備がすごいということなのかもしれませんが…。
スパイダーマンもシビルウォーで(どうやってその力を得たかなどの前日譚的な詳しい映像描写とかはナシで)いきなり登場しましたが、アイアンハートはそれを超えるいきなり"完成してる"感を感じました。
ドラマで詳しい描写があることを願います…。
とまぁ、書こうと思えばいくらでも書けてしまうので、これくらいにしておこうと思います。
「つまらなかった!」とは思いません。
「満足!」ではない、モヤモヤが残る感じです。
ただそれも時間が経ったり、回数を観るとまた変わってくるので、2回…3回と観てみます。
以上!