「足りない。」Fate/Grand Order 終局特異点 冠位時間神殿ソロモン 【@@@】さんの映画レビュー(感想・評価)
足りない。
fgo第一部最終章の胸アツストーリーを映像化してもらえたのは素直に嬉しかったが、期待が大きかった分、利得を求めた中途半端な出来に対する失望も大きかった。
まず、セリフが足りない。藤丸とサーヴァント、サーヴァント同士の掛け合いを非常に楽しみにしていたのだが、サーヴァントは基本無口。サーヴァント大集合の際も目立ったセリフはジャンヌ・ダルクのみで他はバトルこそすれ、セリフの無い分派手な効果音で誤魔化している感じだった。
それに、状況説明も足りない。ゲームから映画という全く性質の異なるものに描き直すうえで、独自の展開に変更し、かなりのテキストを削減したと思うのだが、その中で状況説明が抜けてしまっており、いくつか疑問が残るという結果になった。
例えば、ロマニが最後に何をしたかったのかがわからない。もちろん、原作をプレイしているのでこちらで勝手に脳内補完してみることが出来たが、それでもクリアしたのは数年前のこと。ロマニが最後ソロモンに変身してゲーティアに何をしたのかがいまいちよく思い出せず、感動が薄れてしまった。また、藤丸がトドメを刺した意味や残り一機分のエネルギーで複数のサーヴァントを召喚出来た理由、神経食い潰したボロボロの身体から何事も無かったかのように回復した点など。ご都合主義と言ったらそこまでだが、納得できる展開が欲しかった。
そして以上の不満点を補う為の尺が足りていない。上映時間は合計で90分。せめて120分で作ってほしかった。
商業映画である以上、利得を求めるのは間違いでは無いしし、納期があるのもわかるが、それでももっと時間かけてもいいのでしっかりとしたものを作ってほしかった。1年待ってと言われたら全然待てたし、エイプリルフールのネタゲーム作るくらいだったらこっちに予算を回してほしかったと思う。あるかは分からないが第二部最終章の映画化に期待したい。