劇場公開日 2021年10月8日

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「東出昌大が走ったコロナ禍の函館 奈緒の献身的な寄り添い方に唸る」草の響き 大塚史貴さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0東出昌大が走ったコロナ禍の函館 奈緒の献身的な寄り添い方に唸る

2021年9月20日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

初号試写で鑑賞。佐藤泰志原作の映画化は5本目。シネマアイリスの菅原和博代表にとっても節目の作品といえよう。決して派手な作品ではないうえに、観光都市・函館もコロナ禍で大打撃を受けた。製作が困難を極めたのは言うまでもない。
そんな人気の少ない函館の街を、黙々と走る男。心の病を患った和雄が、治療の一環として街を走るなかで、若者たちとの出会い、ささやかな触れ合いが心の平穏を緩やかに取り戻していくさまを東出昌大は根気強く和雄に寄り添いながら演じている。
そして更に、その和雄に文字通り寄り添いながら献身的に支える妻に扮した奈緒の説得力が、今作の特筆すべき点といえる。今年も公開作品が7本と既に売れっ子といえるが、今後さらに作品数が増えていくのではないかと感じさせられる演技だった。

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大塚史貴