「韓国映画の進化が止まらない」サムジンカンパニー1995 Scottさんの映画レビュー(感想・評価)
韓国映画の進化が止まらない
通勤のシーンで歩いてる女の人の服を観て「肩パット入ってる!」と思ったのね。その頃の時代なんだあって思った。
日本もバブルの頃はみんな肩パットが入ってた。1995年だと日本は、肩パットやめてたかな。
冒頭からシーンが面白いんだよね。コーヒーを作るシーンとか、企業内英会話学校のシーンとか。
各シーンの面白さと、そのそれぞれのシーンのつなぎのうまさで、コミカルに話を進めてくの。
韓国映画は、レベルの高いシナリオで、唸るような展開になってくんだけど、この作品は演出に目がいくの。こういうちょっと凝った映画も、もう韓国はうまいんだと思って、すごいと思ったよ。
基本線は「フェノールの調査書を改ざんしたのは誰だ?」を暴くことで進んでいって、そこから会社の危機をどう救うか? になるんだよね。ここの二転、三転はうまかった。それだけでも面白い。
最後の社長室のシーンで、会長を味方に引き入れて、社長を倒しにいくときに、制服姿の女性社員がズラッと勢揃いしてんの面白かった。普通は、ないよね。でも演出として、ここにみんないた方が面白い。
そして、社長が『この契約にNoと言える者は誰もいない』に女性社員が声を揃えて『No!』がいいね。この映画のテーマがクライマックスで出てくる。続けて英語で『一寸の虫にも五分の魂』の唱和。
脚本はやっぱりレベルが高くて、ボラムのお父さんのお葬式エピソードを入れるタイミングとか、ユナと専務の噂は専務がセクハラしてたんだと分からせるとか、さりげなくやってうまい。
状況説明のためだけに登場したのかっていうキムさんが、重要な役どころで戻ってくるのもうまい。
コミカルなシーンを楽しく観ていて、謎解き展開にハラハラして、そして女性社員が一致団結して勝利をつかみにいくカタルシス。
観て損ない。傑作で快作だよ。