「父権と自由」テーラー 人生の仕立て屋 N.riverさんの映画レビュー(感想・評価)
父権と自由
てっきり人生逆転、ハートフルコメディーかと思うも、違った。
テイラーが仕立てる紳士服はおそらく、父権の象徴なのだろう。
元で従順に、まったくもって従順に人生を送って来た主人公が、
自分自身を取り戻すまでの物語だった。
だからといって派手な反抗期が遅れてやってくるわけでもなく、
自身に絶望する苦悩を乗り越えるでもなく、
淡々と、それが品よく、しかしながら着実に人生の風向きを変えてゆく。
気付けばオーダーをひたすら待つガチガチのテイラーから、
さすらいの移動ウエディングドレス仕立師へと。
そこに絡む隣のご婦人も、さもありなん。
最後の最後、父親が型を取ったスーツを仕立て上げるのか、と思いきやのラストには、何とも言えない痛快、爽快感が過った。
かくして息子は一人前となった。
人生はこれからだ。
そうそう、お隣のお嬢ちゃん、めちゃくちゃかわいかった!
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