「旅立ちまでの一ヶ月」テーラー 人生の仕立て屋 bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
旅立ちまでの一ヶ月
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処分するのは亡くなってしまった「お得意様」の型紙。雑踏を歩く父子のハンパない浮き方。父子を店名にしたテーラー。経済的に苦難の道を歩くギリシャにあって、更に取り残される「過去の遺物」としての描写の、さり気なさが好き。
閃いた息子は屋台を引いて街に繰り出し、ひょんな事からウェディング・ドレスを引き受ける事になり、お向かいの人妻の手を借りながら、商売の土俵を切り替えて行く。
自分の型紙を生地に型取りし、テーラーを出て行く父親。
「型紙からスーツを縫い上げるテーラーとして生きて行くのも、他の道に進むのも、お前が自分で決めろ」
父子のテーラーは銀行に差し押さえられるも、シトロエンのバンを屋台に改造して、一人街を出て行く息子。バンの車体には、息子一人の名前がペイントされている。
き。
過去に囚われず、親からの資産を引き継がず、自分の心に従い、ウェディングのテーラーとして独立して行く、と言う話。
少女ビクトリアと言う、リアリティーあるアクセントの使い方とか。人妻との誤ちの件に、深入りし過ぎない脚本とか。欧州文学的です。良い感じで不描写で、画も良く出来てるし。
今年の欧州もの、フランスから来るやつは、悪い意味でグローバル化してフランスらしさが薄れているし、やたらナチスもの&フェミニズムに偏ってるし。そんな中で、ホッと息をつける佳作でした。
良かった。
好きなジャンルだった。
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