劇場公開日 2021年8月14日

「本当に一度死んだみたいなものの窪塚の芝居」全員切腹 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5本当に一度死んだみたいなものの窪塚の芝居

2021年8月30日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

単純

興奮

2021年映画館鑑賞78作品目
8月29日(日)フォーラム仙台

26分のショートムービー

ポスターのVサインが窪塚洋介らしい

世が世ならお前ら全員切腹だ
お前らとは映画のメッセージとして誰なのか
菅義偉(政府)なのか尾身茂(知識人)なのか玉川徹(マスコミ)なのか
それとも国民全体なのか
初めからメッセージなんてなく明治になっても奉行所気取りのあいつらだけに向けた罵声なのか
それはよくわからない

江戸時代かと思えばざんぎり頭が目立つので明治初期

窪塚洋介が演じた浪人雷漢吉右衛門は井戸に毒を撒いて疫病を流行らせた疑いをかけられる
結局濡れ衣を着せられ切腹するハメになる

雷漢は切腹前に講釈を垂れる
渋川清彦演じる明治政府の下っ端は介錯人奉る
鮮血で顔面が真っ赤になる
切り落とされた雷漢の顔はリアルだ

タイトルは全員切腹だが切腹するのは主人公雷漢吉右衛門ただ1人

殺陣シーンはない

尺八に太鼓がBGM
迫力が大いにある音響
和の心

作品冒頭に1人だけ登場する遊女役の芋生悠は赤に橙といういかにもな着物姿で長屋をウロウロ
般若のお面をかぶり小指を切る
セリフもなければ素顔も見えない
出番はそれだけ
とにかく顔を出したがるハリウッド俳優では無理だろう
遊女というより物の怪の類か

一番の見せ場は窪塚洋介切腹のシーン
圧巻の表情の移り変わり
こんなリアルな切腹は初めて観た

映画館の大きなスクリーンと音響システムで観て感じてほしい

野川新栄