「時代に望まれて出来上がったヒーローの物語」セイバー+ゼンカイジャー スーパーヒーロー戦記 ヤッターさんの映画レビュー(感想・評価)
時代に望まれて出来上がったヒーローの物語
ライダーと戦隊のクロスオーバー作品の中では最高傑作だと思ってます。
「平ジェネForever」「Over Quartzer」に続く、メタ視点を取り込んだストーリー展開のアニバーサリー作品である本作。平ジェネのエモさにOQのはっちゃけをいい塩梅でブレンドできている、絶妙なバランスで作られているなと思いました。
作品として色々と思うことが無いわけではないセイバーなのですが、本作はセイバーがメインであるからこそ成立した作品だと思います。なぜ我々はフィクションのヒーローに心動かされるのか、なぜ人は「物語」を欲するのかということまで考えられる作品にまで成り得たのは、小説家というセイバーのアイデンティティが上手く生かされた結果だと言っていいでしょう。ここに仮面ライダーの産みの親、石ノ森章太郎をがっつり絡ませるというのは、いいアイデアですよね(何様)。きちんと「劇場版仮面ライダーセイバー」になっていたな!という印象です。
みんな大好きゼンカイジャーも良かった!ガオマジブルは途中離脱しちゃうし、ヨホホイ兄貴も最後になって駆けつけるだけなので、正直物足りないところもあるのですが、ゼンカイザーの底抜けの明るさと、アドリブみたいな台詞の多さが平常運転のジュランを見れるだけで嬉しいんです。ポップ過ぎるきらいのあるゼンカイジャーですが、それが本作の雰囲気を小難しくしすぎない、バランスの取れたものにしてくれたんじゃないかなと思います。
レジェンドゲストも軒並み良かったぁ…。僕、シンケンジャーは谷千明推しなんです。未熟ながらも懸命に精進していく姿が大好きだったんですが、その千明が…まぁ立派になって…。そこに絡んでくるのが時雨ってのもいいよね!きちんと万力ギャグまで入れてくれるサービスぶり。
ソウゴもアルトも、シーンとしては短いし、西遊記と八犬伝の世界というよくわからん設定が加味されてるんだけど、きちんと魔王であり、社長でした。なんかオーナーとイマジンは定期的に見るのでお盆に会う親戚みたいな感覚ですが(何)、あの数秒のためだけに出てきた鴻上会長はただただ素晴らしいッ!!
『ヒーロー一筋、半世紀!』
本作のキャッチコピーです。これは藤岡弘、氏が完成披露イベントで言っていたのですが、50年ヒーローを作り続けてきた大人たちがいたのです。おもちゃ売りたい気持ちが透けて見えるぞ!とか、なんか惰性でやってない?とか、思うときもありました。きっとそういうこともないことはないんだろうけど、でも、作り手たちは、受け手が思っている以上に受け手のことを想い、自分たちの想いを込めて作品を、ヒーローを作っているんだなと思い直しました。見続けてきて良かったなとも思いました。
そして、同時上映のリバイスを観て、これからも見続けていきたいなと、まんまと思わされてしまったのでした。Wアニバーサリーおめでとう!とりあえず、最光!じゃなくて、最高!