「エンドクレジットが全てを物語る」アウシュヴィッツ・レポート regencyさんの映画レビュー(感想・評価)
エンドクレジットが全てを物語る
アウシュヴィッツを脱走した2人のユダヤ人がまとめたレポートが、ハンガリー系ユダヤ人の命を救った…その行為はもちろん称賛に値する。
しかし、ポーランドやフランスといった他国のユダヤ人は変わらずアウシュヴィッツに移送され続けた。もっと伝わるべき情報が全てに行き渡らなかった悲しさとやるせなさ。これは、伝えるべきニュースがいつの間にかフェイクニュースに取って替わられてしまう現代にも通じるかも。
冒頭の首吊りシーンやクライマックスのワンカット長回しシーンなど、印象に残る場面は多々あるが、一番強烈だったのはエンドクレジット。
上映開始早々に提示される、哲学者で詩人のジョージ・サンタヤナの言葉「過去を忘れる者は、必ず同じ過ちを繰り返す」が意味するものが、ここでようやく分かる。
戦後75年以上経つのに、人類は過去から何も学んでいない――監督の痛烈なメッセージだ。
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