「この時代にこんな大味アクション娯楽作は逆に気持ちがいい!!」ノンストップ バフィーさんの映画レビュー(感想・評価)
この時代にこんな大味アクション娯楽作は逆に気持ちがいい!!
動画配信サービスの普及によって、様々な国の映画が簡単に観られるようになった中で、どう差別化するか、どう抜きん出るかと試行錯誤している映画業界で、ここまで大味でシンプルなアクション映画を投入してくる心意気には感動すらおぼえてしまう。
しかも監督を務めるのは『消された女』では法律の盲点を描いた社会派監督のイ・チョルハというも驚きだ。
K-POPや韓国ドラマ、映画がブームのアメリカにアプローチしているのかもしれない。『愛の不時着』要素や韓国特有の変なテンションのコミカルな駆け引きなどなど、韓国が代表するようなおもしろネタ、何ならカラテとカンフーの区別もつかない、香港映画と韓国映画の区別がつかないような層にも一周回って、「そのイメージでいいですよ!」と言っているかのようなイメージ横取り戦法はいろんな意味で見事。
二転三転するものの、予測できる範囲内からは抜け出せず、分かりやすくジャンル分けされたキャラクターのアンサンブルによる漫画のようなベタベタな展開ではあるのだが、娯楽映画って本来こういうことなのかもしれない。
限られたフィールドで、周りの物を活用したアクションシーンってみんな大好きだったりする。
韓国ドラマはまだまだ需要があったりするが、日本における、一時期の韓国映画ブームの時と比べれば、日本で公開される作品も限られてきてしまっていて、コメディやアクションよりも政治や国際問題、ジェンダー問題を扱った社会派なものやノワール的な作品の輸入が多くなってきている中、これもまた韓国映画といった箸休め的作品と言っていいだろう。