「【“一緒なら、強くなれる・・。”ボブをこよなく愛する善の心を持つ青年を助けるべく、集まる多くの善意に心温まる作品。クリスマスの日の出来事を効果的に描き出している点も佳き作品である。】」ボブという名の猫2 幸せのギフト NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【“一緒なら、強くなれる・・。”ボブをこよなく愛する善の心を持つ青年を助けるべく、集まる多くの善意に心温まる作品。クリスマスの日の出来事を効果的に描き出している点も佳き作品である。】
ー 「ボブという名の猫」を鑑賞したのは、手元のパンフレットの奥付を見ると、2017年の秋であったようだ。
前作では、ジェームズ(ルーク・トレッダウェイ)は、ドラッグに溺れ、家族からも見放されたミュージシャンであった。それを救ったのがボブである。
今作では、動物保護という正義が彼らを追いつめていく。-
◆感想
・今作の作りが上手いなと思ったのは、冒頭、今や作家のジェームズが、且つての自分の様なストリートミュージシャンに自分の過去を語る所から始まり、内容はほぼ初作品と同時期に設定した事だと思う。
・ジェームズは肩の上にボブを乗せて、路上でギターを鳴らし、「ビッグイシュー」を売る貧しき日々を送っている。
・そんなボブに動物保護局の職員が、”猫を飼うのに適正な人物か、猫はキチンと生活できているのか・・”と調査に来る。
そして、ボブは少しづつ追い込まれていくのだが・・。
- 動物保護局を今作では、一人の愚かしき男を除いて、キチンと職務を果たす機関として描いている。だが、それがジェームズの貧困状態を上手く炙り出している。-
・「ビッグイシュー」を売るライバルの男との誤解も解け、二人でパブでペールエールを酌み交わし、彼が自らの今は会えない大切な家族を語るシーンなども良い。
- そして、ラスト近く、彼は話していた大切な娘と、孫をジェームズに紹介するシーンも良かったなあ・・。-
・更に、今作はクリスマスの日に焦点を当てている所も上手いし、貧しき頃と、ラストの現在の楽し気なボブとジェームズの対比により、観る側は”良かったなあ‥。”と思うのである。
- 現代のクリスマスシーンには冒頭で登場した若きストリートミュージシャンも「ビッグイシュー」販売員として彼らの仲間になっている。-
<今作が、観る側の心を温かくするのは、貧しくも善性の心を持つ青年ジェームズをクリスマスの日に助けようと手を差し伸べる多くの善性溢れる人々の姿である。
近所の店の有色人種の男性であったり(ボブを支援するサイトを開設)、ボブとジェームズを愛する夫を亡くした年配の女性であったり、ボブに路上で助けられた高名な料理家の女性であったり、動物保護局の女性であったり、路上生活者をサポートする女性であったり・・。
皆、善性に溢れている。
そして、ボブはそんな彼らを猫目線で見上げ、時にハイタッチなどもするが、基本的には只、据わって眺めているのである。
今作は、作為のないボブの姿が、前作に引き続き、良い風合を醸し出している作品である。>