「知るべき事実がたっくさん!」地球で最も安全な場所を探して バリカタさんの映画レビュー(感想・評価)
知るべき事実がたっくさん!
本作、日本全国ロードショーすべきですよ、いや、しなければなりません。
原子力発電所が多く存在し、原発で大きな事故を経験している国であれば、なおさら知っておかねばならない事実が描かれています。
本作のタッチはドキュメンタリーとしては好感が持てます。なぜなら、原発の良し悪しを論ずるのではなく、ただただ現実を映し出し、観るものに考えさせる機会を与える作品となっているからです。この現実をあなたはどう思いますか?という風に。
「トイレが無い家」
なるほど!わかりやすい!
僕はこの言葉だけで、今の状況が異常であると認識できました。
人間が生活する場所として、生きていく中で発生する排泄物を処理できる場所があるから人は住めます。生活の中で出るゴミを処理する場所があるから、我々は生活を
続けられるのです。この当たり前の事に関して、世界の各国で取材し描いています。
この作品の製作者並びに監督は<大上段に構える原発反対論者>ではないのだろうと思います。
それは冒頭の入り方にあらわれているかな?と。反対でも賛成でもなく、我々人間の生活圏、生活環境の不整合を明らかにしているだけなんですよね。
本作で描かれる主要な科学者は、科学者として正しいですよね。彼には主張とそれに沿った依頼があり、あくなき探究心でそれを具現化しようとしています。狂信的ではなく科学者、研究者としての良心を持っている方です。ですから、ちょっと安心しました。
某考古学者のようなニセ発掘はしない人なんでしょうね。
ですが、ぼくは本作でその方々は何のためかなやっているんだろ?と思うわけです。確実な回答が得られる確率がすごーーーく低いと思われることに何故邁進するんだろう?と。彼らの頭脳と知識とこれからの時間、彼らの働きに投下する資金を使えば原発に頼らないエネルギー開発できるんじゃないの?と思いました。
本作観て、僕はモヤモヤしてた原発に対する意見を持つ事が出来たと思います。非常に良かったです。
本作、エンドロールが終わっても席を立たない方がよいです。重要なメッセージが出ます。
傑作でした。